彼らの政策はドイツを急速に弱体化させかねない

その社民党が念願かなって政権をとったのが21年12月。それから2年たったが、今回の全国党大会では、難民問題への対応で、奇しくも彼らの無茶な左傾化がはっきりと露呈する結果となった。

EUでは現在、いかにして難民のEUへの流入を阻止するかということが最重要課題となっている。何十年も先進的な移民・難民政策を敷いてきたスウェーデンやデンマークといった国々でさえも、その弊害が深刻になり、今やほぼ完全に門戸を閉じている。

イタリアやギリシャなどは、地中海から流れ着く難民を効果的に防ぐことは難しく、現在、EUが総出で思案中。まずは、どうすれば難民を海に出させずに済むかを、送り出し国のチュニジアやモロッコなどの政府も巻き込んで検討している。

一方、ドイツでは、15年、16年当時は中東難民がハンガリー、オーストリア経由で入ったが、すでに両政府がそれを厳重に遮断してくれており、違法難民のルートはポーランドやチェコ経由に変わった。どちらもEUなので、大小さまざまな道がつながっており、つまり現在は、長い国境のどこかから、犯罪組織の助けを得て絶えず入ってくる違法難民が、ドイツでの深刻な問題となっているわけだ。

なだれ込む難民の庇護で行政はパンク状態

違法でも合法でも、また、チャンスがあってもなくても、入ってきた人が皆、難民申請をするので、今年の1月から11月までの申請数は32万5800人。前年(1月~12月)比33%だ。しかも、ドイツの場合、たとえ正式な難民資格が取れなくても、ほとんどの人が何らかの理由で滞在を容認されるというのが現状である。

難民を割り当てられた自治体は、彼らを庇護し、審査する義務を負っているが、数があまりにも多いので、あらゆるところで宿舎や資金や職員が不足し、行政が機能不全に陥っている。しかも、多くが若い男性であるため、治安も悪化し、住民の苦悩も大きい。増え続ける難民を人道だけで処理するなどまさにおとぎ話である。

そこで、ショルツ首相もE Uに歩調を合わせ、難民の流入を防ごうとしていた矢先だったが、それが今回の党大会で見事にひっくり返ってしまった。社民党の党内左派は「ドイツは移民受け入れ国」と主張して譲らず、多くの自治体の困窮を完全に無視するという暴挙に出た。それどころか、現在進行中の問題点を指摘した党員は、右翼、特に現在急進中のAfD(ドイツのための選択肢)に屈したとして非難された。