「ソト」からホメられないとプライドが持てない卑屈な民族

朝の情報番組や夕方のニュース番組などでも「外国人が日本の素晴らしさに感動」「日本人にとっては当たり前のアレに、外国人が大注目」といった企画を作っては、日本の良さを発信し続けている。番組内のコーナーだけでなく「YOUは何しに日本へ?」「世界!ニッポン行きたい人応援団」(どちらもテレビ東京系)、「世界が驚いたニッポン! スゴ〜イデスネ!!視察団」(テレビ朝日系、現在は「ニッポン視察団」)など、番組一本がまるまる、日本人の自尊心を満たすための内容でまとめられている番組すら存在する。

「実は、日本の100円ショップのことを外国の皆さんが絶賛しているそうなんです!」などと司会者やリポーターが大袈裟にネタ振りし、出演者やガヤ連中が「えーっ!」と反応したところでCMへ……。そんな演出がお約束であるこの手の番組、私は大嫌いだ。なぜかといえば、まるで日本人が「ソト」からホメられ続けていないとプライドが持てない、卑屈で情けない民族のように思えてくるからである。

驚いた表情の若い男性
写真=iStock.com/master1305
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そもそも、今や衰退国である日本のダイソーで100円のものは、海外では全く価格が違う。2021年のベストセラー『安いニッポン』(中藤玲・著/日経プレミアシリーズ)では、世界各国のダイソーで販売される商品の価格を示しているが、以下のようになっている。

日本:100円/中国:160円/台湾:180円/タイ:210円/シンガポール:160円/オーストラリア:220円/アメリカ:160円/ブラジル:150円

日本人は値上げを許せない

もはや日本が一番安いのである! それだけ日本は安過ぎる。要するに「100円を当たり前だと感じる貧乏人からクレームが来るのが恐ろしい」ということである。外国では「これがベースですから」で日本よりも高価格で販売できるのだが、貧乏な日本は値段が上がるのは許せないのである。

正直、ここに出てくるラインナップを見て、オーストラリアとアメリカ以外、日本の方が安いことに恥を感じないか? と私は感じた。あぁ、これらの国よりも我が祖国は貧乏人だらけで、彼らの方がむしろ経済的優位性があるのだな……と。