「証明できない問題」の誕生

NHK「笑わない数学」制作班編『笑わない数学』(KADOKAWA)
NHK「笑わない数学」制作班編『笑わない数学』(KADOKAWA)

無限に種類があることを突き止めたカントールは、さらに「『普通の無限』と『でっかい無限』の間に他の大きさの無限は存在しない」ということを予想しました。この予想は「連続体仮説」と呼ばれる予想です。

しかし、カントールは「連続体仮説」を証明できないまま、その生涯を閉じてしまいます。

解かれることなく残った連続体仮説は、のちに、「いくら考えても正しいのか正しくないのか証明できない問題」という、とんでもないことが証明されてしまったのです。

これは、クルト・ゲーデルが発表した「不完全性定理」と呼ばれる驚くべき定理によって示されました。

【図表5】不完全性定理
出所=『笑わない数学

カントールが切り拓いた世界のおかげで、現代の私たちは、自由に無限を扱うことができるのです。

その業績を称え、カントールが暮らしたドイツ、ハレの町の片隅には、彼自身のこんな言葉が刻まれています。

【図表6】数学の本質は、その自由性にあり
出所=『笑わない数学
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