※本稿は、NHK「笑わない数学」制作班編『笑わない数学』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
最も基本的な数「素数」
「素数」は中学校の数学で学習することが多いですが、その意味を覚えていますか?
素数とは「1と自分自身でしか割り切れない自然数」です。
具体的には
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、……
といった数です。
素数は無限に存在することが、古代ギリシャの数学者ユークリッドによって証明されています。
また、素数は「数の原子」とも呼ばれています。その理由は、どんな数でも素数の掛け算に分解(素因数分解)できるからです。
例えば、10=2×5、30=2×3×5のように分解できますね。
このように、素数とはすべての数のもとになっている最も基本的な数なのです。
この最も基本的な数である素数には多くの謎(未解決問題)が存在します。
例えば、次の「ゴールドバッハ予想」があります(図表1)。
この予想について、4から順に確かめてみましょう。
6=3+3
8=3+5
10=3+7 もしくは 10=5+5
10までは確かに2つの素数の足し算で表せますね。
もっともっと大きい数も2つの素数の足し算で表せるような気がしますが、ゴールドバッハ予想は今もなお素数に関する謎の1つなのです。
なぜ「気まぐれな並び方」をしているのか
他にも、3と5、5と7、11と13のように仲良く隣り合っている素数のペア「双子素数」に関する次の謎があります(図表2)。
このように素数には多くの謎が存在するのです。
その謎の中には、何世紀もの間、天才数学者たちを悩ませてきた素数最大の謎があります。それは、次の「素数の並び方」に関する謎です(図表3)。
次の表は自然数を1から200まで並べ、素数に色をつけたものです(図表4)。
どうでしょうか? 素数が現れるタイミングはとっても気まぐれで、ばらばらだと思いませんか?
数の原子とも呼ばれ、すべての数の基礎となっているはずの素数なのに、なんでこんなに気まぐれな並び方をしているのか?
この謎は何世紀もの間、数学者を悩ませてきました。
ここでは、数学者たちからも一目置かれる3人の天才数学者が、この「素数の並び方」の謎に挑んだ歴史を紹介いたします。