お金は動けるうちに使ったほうが、自分のためになる

老後のお金の使い道は、旅行でもよいし、外食でおいしいものを食べるのもよいでしょう。でも余裕があるのであれば、よい服を買うことも私は提案したいのです。

こんなことを言うと、「老後が心配だ」という人がいるのも事実です。確かに何歳まで生きるのかは予測がつかないので、貯金を減らしたくないという気持ちはわからないでもありません。

また、もっと年をとったら、介護される立場になるかもしれないから、そのときのためのお金をキープしておいたほうがよいのではないか? という人もいるでしょう。

でも、実は要介護になっても、寝たきりになったとしても、意外にたくさんのお金はかからないのです。

それは介護保険が受けられるというだけでなく、寝たきりになれば、娯楽にお金を使うことができませんし、食事にもお金を使う必要がなくなるからです。

つまり、体が動かなくなってからは、お金を使う機会そのものが減るということです。

逆にいえば、お金は動けるうちに使ったほうが、自分のためになるということです。

老後のための蓄えがある人なら、それを定年から死ぬまでの前半戦で使うつもりにならないと、使いきれずに寝たきりになってしまうかもしれません。

90歳からの旅行はリスク有り

旅行が好きな人なら、体が元気なうちにどんどん旅行すればよいのです。でも90歳になってからの旅行はかなりつらいと思います。

私が温泉に行って、こんな光景を目にしたことがあります。宿泊した温泉宿の大浴場で推定80代くらいのお爺さんが入っていたのですが、1人でお風呂から出られなくなってしまったのです。

和田秀樹『60代からの見た目の壁』(エクスナレッジ)
和田秀樹『60代からの見た目の壁』(エクスナレッジ)

一緒に風呂に入っていた息子たちが、あわてて手助けして、やっと立ち上がることができたのですが、運が悪かったら大変なことになっていたかもしれません。

60代、70代は元気だった人でも、いつかは体が衰えてきます。そうなったら、旅行は難しくなります。

この高齢者の場合も、一緒に温泉に行ってくれる家族がいたから実現できたのです。1人では無理だったに違いありません。

お金はそうなる前に使い切ってしまいましょう。そして、見た目をよくしたいのであれば、そのお金でよい服を買ってほしいと思います。

【関連記事】
「お金が貯まらない人の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は絶対に置かない"あるもの"
新NISAが始まっても投資に手を出してはいけない…経済学者が「老後に備えるならコレ」と唯一勧める金融商品
「脳トレはほぼ無意味だった」認知症になっても進行がゆっくりな人が毎日していたこと
「10万人の胃腸を診た専門医が警鐘」日本人の約5割が毎朝食べている胃腸に最悪の"ある食べ物"
「血液型で病気リスクがこんなに違う」O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍…という血液型とは何か