次に、低コストの開発体制がある。フォーエバー21の場合、2000社を超えるサプライヤーと提携し、多彩なアイテムを揃える。H&MはSPA(製造小売り)方式を採用し、随時、最も安く速い製造・輸送ラインを利用している。

「H&Mは、デザインから店頭販売まで3週間で行う。現場に権限を移譲しなければ実現不可能なスピードです」(金子氏)。百貨店のリードタイムは平均6月といわれるが、その8分の1だ。

「GAPやH&MなどSPA体制をとっているメーカーでは、同じデザインでも製造場所が異なる商品があります。これは推測ですが、海外の複数の工場に発注し、競争させることによって価格を下げているのではないか」(金子氏)

実際に原宿のTOPSHOPを訪れた際、1.5メートルのハンガーにかけられた約50着の服の製造元は、イギリス、インド、トルコ、中国、インドネシア、ドバイ、モロッコ、モーリシャスと8カ国にも及んでいた。

もうひとつユニークなのは、「余りものの活用」。金子氏いわく、「マクドナルドの“グローバル・ロジスティクス・インテグレーション”のように、布、糸、染料など余った材料を、ラインの空いている工場に集めて商品をつくればコストは極限まで下げられる」。このようにして、安くかわいいアイテムがつくられては日々店頭に並べられ、飛ぶように売れているのだ。

※すべて雑誌掲載当時