ドイツのようなマイスター制度の導入も

【エミン】そういう考え方もあるとは思いますよ。私のように子どもがいない人は、とくにそう思うでしょうね。でも、本格的に少子化対策をするなら、それが答えだと思うよ。ドイツは10歳で大学に行く人と専門性を持った学校に行く人に分かれるけど、そういう形になる可能性もありますね。

【パックン】マイスター制度ですね。それに切り替える方法もあるかもしれない。いま、米国は、その方向に転換しようとしているようにみえますね。

【エミン】必ずしも全員が大学に行く必要もないからね。

【パックン】「とりあえず大学へ行く」という考え方を見直すべき。

【エミン】そう。私は親戚がドイツにいるけど、みんな専門学校で1人も大学には行っていない。1人が美容師になって、1人はカスタムオフィサー(税関職員)になっている。みんな専門性で分かれている。

【パックン】なるほど。選択肢はたくさんあるけど、教育コストを下げて、子どもが生まれやすい、育てやすい国に変えていくことは、2人とも共通した意見ですね。

【エミン】そうだね。

お笑い芸人のパックンさんとエコノミストのエミン・ユルマズさん
撮影=市来朋久
子どもが生まれやすく、育てやすくするためには「教育コストを下げる必要がある」というのが2人の一致した意見。

結婚しにくいキャリア女性はどうすればいいか

――日本でも正社員として生きがいを持って働いていきたいと考える女性が増えてきましたが、そうした経済力のあるキャリア女性のほうが結婚しにくい傾向があります。どうすればいいでしょうか。

【パックン】それは根が深い問題だね。価値観を変えるのにすごく時間がかかりますから。たとえば、現在、仕事で頑張っている30~50代の女性は自分が育った20~40年前の社会の状況の影響を無意識に受けていると思います。自分より背が高い男性がいい、収入が多い男性がいいとか。

この意識は少しずつ変わっています。いまの子どもが30代、40代になったときには女性が働いて、男性が主夫になるのも当たり前になっているかもしれない。でも、いますでに働いている世代は、そうした価値観で生まれ育っていないし、周りもそういう概念を持っていない。本能的に近いところの概念に反するから、すごく違和感があると思いますね。

【エミン】そうね。