新NISAで海外資産への投資を始めた人も多いが、運用成果には為替レートが大きく影響する。お笑い芸人のパックンことパトリック・ハーランさんとエコノミストのエミン・ユルマズさんに、今後のドル円相場をどう考えておけばいいか、何を買っておくのが有利かを語ってもらった――。
円安は国策。円高に戻る可能性は低い。
――新NISAで海外資産に投資した場合、将来、円高になったときは損しますか。
【エミン】僕は円高にはならないと思っています。瞬間的に円高になったとしても、日本は国策として円安を推しているから、円高になるのは難しいでしょう。
たとえば、地政学リスクが高まる中、サプライチェーンを日本に回帰させる動きが進んでいます。そうなると、日本の労働コストをドル建てで安くしておかなければいけません。だから、円安は日本とアメリカの間でコンセンサスが取れていると思う。
大統領選でトランプさんが再選されたらわからないけど、それがなければ、今後も円安は続くと思う。
【パックン】そうなんだ。
【エミン】そう。円安は日本の国策だと思う。
【パックン】輸出を応援するため?
いまだ日本に残る昭和的な発想が円安を推す
【エミン】そう。加えてものすごく昭和的な考え方も残っている。日本は1990年代に景気が低迷したけど、それはプラザ合意(※1)のせいだと思っている政治家が多い。プラザ合意によって急速に円高になったため、輸出競争力が弱くなったと考えているわけ。僕はまったく違うと思うけど。
※1 プラザ合意 1985年9月22日、過度なドル高の是正のために米国の呼びかけで、米国ニューヨークのプラザホテルに先進国5カ国(日・米・英・独・仏)の財務大臣と中央銀行総裁が集まり会議が開催され、ドル高是正に向けたG5各国の協調行動への合意が発表された。これを「プラザ合意」と呼ぶ。
【パックン】僕もそれは違うと思う。
【エミン】日本の為替相場は1ドル=360円の固定相場制だったけど、1973年から変動相場制に移行したでしょ。その後は円高になったわけだけど、1970~80年代の輸出は伸びている。