米国債を買って満期まで持つのが賢い

――基本的な話になりますが、自分の保有資産のうち、どの程度をリスク資産に配分するかも考えなければいけないと思います。どう考えればいいですか。

【エミン】僕は現金を持っている意味はないと思っているから、リスク資産は多めでいいと考えています。

――半年分くらいの生活費があれば、あとは投資に回りしていいという考え方ですね。

【エミン】そうね。全額を株式に突っ込む必要はありませんが、多めに保有していいと思います。たとえば2009年以降の日本株と円建ての金のパフォーマンスを比較すると、パフォーマンスは大して変わりません。株式と合わせて保険の意味で金や銀を買っておくのもいいでしょう。

あるいは米国債を買うのもいいと思う。僕はアメリカ株は勧めていませんが、「米国債は買え」といつも言っています。いまなら4~5%の利回りが得られますし、これから金利が下がれば米国債の価格自体も上がると考えられます。にもかかわらず、米国債を買う人が少ないのは信じられない。リスクを冒してなぜアメリカ株を買うのかわかりません。アメリカ人も含めて(笑)。

【パックン】米国債は満期まで持っていれば、値下がりするリスクはないですからね。

【エミン】そう。持っていればいいです。

【図表】2009年以降の円建て金価格と日経平均株価の上昇率
出典=Trading View

すぐに現金化できるなら緊急資金は少なくていい

【パックン】リスク資産の保有割合は、人の立場によって変わるから難しいですね。たとえば実家がお金持ちだったり、超一流企業に勤めていて終身雇用が期待できる人なら、リスクを負えるでしょ。反対に子どもをつくる予定があるとか、体調に不安がある人は、生活費に必要な資産が減る可能性がある商品に投資してはいけないですよね。それぞれの負えるリスク、待てる期間を考えることが前提ですね。

僕の場合は十分な資産を確保しているから、仕事がなくなったり、病気をして収入が途絶えたとしても問題ない。だから、けっこうリスクは負えるんです。僕は書籍『無理なく貯めて賢く増やす パックン式 お金の育て方』には「3~6カ月のエマージェンシー資金を持て」と書いたけど、個人的に現金で持っているのは1カ月分程度です。

――すぐ現金化できる資産があるからですね。

【パックン】そう。金融商品を売ればすぐに現金が用意できるから問題ないです。ただ、不動産はすぐに売却できないから、全財産を不動産に投資するのは怖いですよね。

金や銀に関してはその物自体は何も生み出さないから、僕は勧めていません。それよりも事業を拡大したり、新しい商品を開発したりする企業に投資したほうがいいと思う。もしくはリスク分散で債券を買って、キャピタルゲインではなく、インカムゲインを得るのもいいですね。

【エミン】それはアメリカ人の発想だよね。トルコは通貨がずっと目減りしている国だから、僕らにとってのリアルマネーは金だよ。