日本も戦場となり、国土を破壊される

中国軍の攻撃は日本を台湾有事に引き込み、日中の戦いとなる。演習では、中国軍が米軍基地のみならず自衛隊の基地を爆撃した方が、しない場合より中国は優位に立てた。とすれば彼らはそうするだろう。沖縄であれどこであれ、誰も望まない戦争の場に日本がなるのだ。

この事態に対処する道はひとつである。中国の習近平国家主席に攻撃を思いとどまらせるに十分な、強い反撃力を日米の協力体制の中で顕示していくことだ。彼らに侵攻を諦めさせるに十分な強い軍事力と、戦う意思が、日本側に明確にあることが必要なのである。

③は台湾のみならず、日本を含めた自由陣営の要望だが、肝心の米バイデン政権の考え方はどうか。

CSISの演習はこちら側が勝利するとの結論に達したが、その実態は読むだに心が痛む。日米は艦船数十隻、航空機数百機、軍人数千人を失う。米国は世界最強国としての地位を長年にわたって失い、台湾は国土を破壊され、経済再生に苦労する。国土を破壊される日本も同様だ。

戦争を前提に考えなければならない局面

他方中国海軍は崩壊し、水陸両用部隊は壊滅、数万人の兵士が捕虜となる。中国共産党の存続にも影響が出る。

櫻井よしこ『異形の敵 中国』(新潮社)
櫻井よしこ『異形の敵 中国』(新潮社)

それゆえ米中双方は自国を戦場にした大国同士の戦争に発展するのを避けようとするはずだ。その一方で日本と台湾は確実に戦場となる。戦争回避が絶対的に重要なゆえんだ。

だからこそ、再度強調する。中国の考え方、習近平氏の考え方を変えるだけの強い力、即ち抑止力を持たなければならない。CSISの報告は台湾有事では必ず中国は日本をも攻撃することになっている。CSISでなくとも、それはほとんどの専門家の見方だ。

ならば、日本は最も賢く軍事費を使い、力を強化することだ。鍵のひとつが潜水艦である。静粛性に優れた世界トップ水準の潜水艦を中国は最も嫌がる。軍事費の使い方、経済、国の在り方の全てを戦争を前提に考えなければならない局面に私たちは立ち至っている。そうした状況の厳しさを日本全体で共有したい。

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