日米台の勝利に欠かせない「3つの条件」

全シナリオで中国が実施した攻撃のパターンは同じだった。まず爆撃により初動数時間で台湾の海・空軍に潰滅的打撃を与える。強力なロケット軍に支援された中国軍が台湾を包囲し、万単位の中国兵が軍艦、民間の船舶を総動員して台湾海峡を渡る。中国空軍は海岸の上陸拠点を守る台湾軍を空から攻撃する。

ここまでは中国が優勢だ。しかし、すぐに崩れる。台湾陸軍の烈しい反撃で中国軍の上陸は阻止され、中国兵は台湾内陸部に侵攻できない。米軍の潜水艦、爆撃機、戦闘機、攻撃機が日本の自衛隊の補給、支援を得て素早く展開し、短時間に中国陸海空軍を無力化する。中国軍は在日米軍基地及び自衛隊基地、さらに米軍水上艦を攻撃するが、優位に立てず、台湾の自治権は守られる。

日米台の勝利には三つの重要な条件があるとされた。①台湾がもちこたえること、②米国が在日米軍基地を戦闘作戦に使用すること、③米国が中国防衛圏の外側から中国艦隊を迅速かつ大量に攻撃できること、だ。

中国は確実に在日米軍基地を攻撃する

①について。中国の台湾封鎖は海空双方で非常に堅固で、米軍はこれを突破できない。24通りの演習全てで米軍は封鎖された台湾に支援部隊も装備も弾薬も送り届けることができなかった。つまり、台湾は侵略された時点で自分たちが保有している武器装備だけで戦わなければならないのだ。ウクライナと異なり地上ルートで他国からの支援は受けられない。真の意味で自力の強化が必要だ。

台湾の砲弾備蓄は戦闘開始から2カ月で不足し始め、攻撃力は半減する。3カ月で砲弾は尽き、砲兵部隊は歩兵部隊にならざるを得ない。日本にとって他山の石である。

②については日本の覚悟が問われる。1月12日からワシントンで外務・防衛の両大臣による日米「2+2」の会合が、続いて13日には岸田文雄首相とバイデン大統領の首脳会談が行われた。12日の「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙は社説で日米首脳会談を「今年、最重要の外交イベント」と書いた。「日本の国防の目醒め」を歓迎し、「日本は要」だとした。

2023年1月13日〜14日の岸田総理とバイデン大統領の首脳会談。「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙は社説で「今年、最重要の外交イベント」と書いた
2023年1月13日〜14日の岸田総理とバイデン大統領の首脳会談。「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙は社説で「今年、最重要の外交イベント」と書いた(写真=首相官邸ホームページ/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

日本の防衛費増額は歓迎され、日本が新たに保有する反撃能力に関して、「効果的な運用に向けて日米間の協力を深化させる」ことになった。米国の日本への期待は大きい。その分、日本自身が何が国益かを考えなければならない。

中国は台湾侵攻の過程で確実に在日米軍基地を攻撃する。侵攻開始から少し時間をおいて、日米の戦闘機が台湾支援で集結した頃合いでの攻撃になるだろう。そのときの中国軍は日米両空軍に陸上で大損害を与えることができる。戦闘機の破壊は地上駐機のときが一番容易なのだ。