記者会見で川勝知事から飛び出した「トンデモ発言」
JR東海のリニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区工事に関して、静岡県の川勝平太知事は「南アルプスの自然環境や生態系に影響がある」などと反発している。これに関して、10月10日の定例会見で、県がホームページ(HP)で公表している工事着工への手続きを根本から覆すあり得ない発言が川勝知事から飛び出した。
会見で、日経新聞記者が「リニアの話で自然環境に関して関係者の納得が必要だという話があった。水問題の場合だと、利水関係者、いわゆる(大井川の)流域自治体などでわかるが、自然環境問題に関して、県以外の具体的に納得させないといけない利害関係者を想定しているのか」と質問した。
これに対して、川勝知事は「南アルプスを愛する内外の人たちだ」などととんでもない回答をした。
自然環境問題で、県以外に納得させなければならない利害関係者がいることなど初めて聞いた。この回答はどう考えてもおかしいと、筆者は考えた。
この質疑に関しては後に訂正が県政記者クラブに配布されたので、てっきり利害関係者の部分が削除されたのかと思いきや、なんと「南アルプスを愛する内外の方」の部分がそのまま残っているから驚きだ。
しかも県はこの内容を肝心のJR東海、国交省にも伝えていないのだ。
この回答はあまりにも的外れで、川勝知事の発言を一時的に取り繕っただけであり、日経記者の質問を正確に理解した上で、訂正したわけではないことがはっきりとわかった。
川勝知事はあまりに「行政手続き」を理解していない
今回の訂正は、自然環境保全で不特定多数の利害関係者を想定している。
これでは、JR東海などに説明していたリニア着工への手続きを県が勝手に変えてしまったことになる。
このことは現在でも国交省、JR東海は全く承知していない。
県HPの「リニア中央新幹線工事着工までの主な流れ」では、法律、条例等の行政権限に基づいて、リニア問題の課題解決に向けて利害関係者の合意手続きを踏むと説明している。
水問題では、流域市町、利水関係団体の利害関係者の合意が必要である。そのために、県が2018年夏に「大井川利水関係協議会」をつくった。
しかし、生態系への影響については、そのような合意形成を求めていないし、県以外の利害関係者の団体など存在しない。
本稿では、「行政音痴」の川勝知事による自然環境保全に関するとんちんかんな発言を紹介するとともに、このような間違いを平気で追認するのは、水環境だけでなく、自然環境の問題でも、リニア妨害を続ける県全体の姿勢にあることをわかりやすく伝える。