「県以外の自然環境の利害関係者」を問うた日経記者
10月10日の会見で、日経記者が「自然環境問題の利害関係者」を問いただした場面に戻る。
川勝知事は、自然環境問題の利害関係者に当初「南アルプスを未来につなぐ会」を挙げた上で、「顧問には県立大学学長の尾池(和夫)先生、全体の会長は山極壽一さん(元京都大学総長)です」と回答した。
同会は南アルプスが2014年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)のエコパークに登録された後、リニア問題で自然環境保護の話が出たことから、登録から7年も経った21年7月に静岡県が設立したもので、事務局は静岡県自然保護課である。
これに対して、日経記者は「その納得を得る上で、JR東海に説明責任があるという発言があった。民間事業者のJR東海が環境保全に責任を負うというのは一般論でわかるが、(南アルプスを未来につなぐ会を納得させる)法的な責任、環境保全に関する法的な責任はないように思う。その上で、県として何かやっていることがあるのか」と突っ込んだ。
川勝知事が「南アルプスの自然を保全することは、環境行政の使命というか、責務ということは、かなり力の入ったことばが言われた」などと訳のわからない説明を繰り返した。
このため、記者は「環境行政の使命という流れで、いま県が取り組んでいることがあるのならば、JR東海との交渉で筋が通るが、特にやっていないのであれば、これはちょっと違うのでは」と県の姿勢に疑問を投げ掛けた。
利害関係者に「南アルプスを愛する内外の人たち」と回答
川勝知事は、県職員が、県内高校の生物クラブに関与して、若い世代に、南アルプスの自然の厳しさと同時に希少性を教えていると説明した後、「やっぱり『南アルプスを未来につなぐ会』も大きいでしょう。山岳会の関心も非常に高い。そういう方たちが納得しないと不具合がある。利水団体のような明確な形で団体を言えないが、南アルプスを愛する内外の人たちと言ってもいい」などと質問の趣旨とは全く違う回答ではぐらかした。
その上、川勝知事は「利害関係者」を、南アルプスを未来につなぐ会だけでなく、南アルプスを愛する内外の人たちとさらに範囲を広げてしまったのだ。
日経記者の質問の主旨は、JR東海が「利害関係者」への説明責任等があるのならば、当然、県も具体的に自然環境保全をきちんとやっているのか、というものだ。
その追及に、川勝知事は、訳の分からない説明で逃げた。