就職先、転職先はどのように選べばいいのか。ワンキャリア取締役の北野唯我さんは「自分が好きなことだけで決めるのはいささか尚早だ。その『好き』が『作るほど好き』であればそのまま進めばいいが、そうでなければ一度立ち止まるべきだ」という――。
※本稿は、北野唯我『キャリアを切り開く言葉71』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
芸大教授がキャリア相談で学生に必ず投げかける問い
雑誌の連載記事のためにデザイナーの高橋理子さんを取材したことがあります。高橋さんは東京藝術大学の博士課程まで修了されているアーティストで、「正円と直線」だけを使った着物のデザインなどでも有名な方です。アディダスなど世界的なブランドともコラボしています。
今は武蔵野美術大学で教授としても教えられているのですが、そこでよく問う質問が「作るほど好きか?」という言葉だとのことでした。
美大には、アートや工芸、ファッションが好きだという人が多くいますが、そういう方々でも「自分が本当に何がやりたいか」がわからなくなることが少なくないそう。そういう学生さんのキャリア相談に乗るときに、高橋さんがまず言うのが「好きなことをやりなさい」ということです。
でも、そうすると大体の学生さんは、「なんとなく気になることはたくさんあります。たとえば、ファッションも好きだし、工芸も好きだしグラフィックも好き。どれも好きで、選べないです」と答えたりするらしいです。
そこで、高橋さんが言うのが、
「作るほど好きか?」
という言葉です。