お客様感謝デー――金額にするといくらお得?

スーパーで「お客様感謝デー」「全品5%オフ!」「10%割引デー」と書いてあると、なんだかとても得した気分になりますね。実際、5%オフの日は売り上げがすごく上がるという話も聞いたことがあります。

Wさんも全品10%割引の日を活用しているうちのひとりです。レシートを見てみると、たしかにすべての商品が10%割引にはなっています。ですが、合計金額は決して安くありません。話を聞いてみると「10%割引になるから」といって、普段は買わないワンランク上の日用品を購入していたのでした。ティッシュペーパーも肌ざわりのいい高級仕様のものにグレードアップ。柔軟剤や食器用洗剤も「せっかくだから」と海外のブランドものを選んでいたのです。普段は200円のティッシュペーパーを使っているのに、「安いから」と300円の商品を買ったらどうなるでしょう? 通常より70円も支出が増えることになります。

乳製品割引グローサリーストア
写真=iStock.com/anouchka
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また、本当なら1個だけ買うところを、同じく「安いから」という理由で3個買う場合もあるでしょう。200円×1個=200円で済むところを、540円の支出になります。340円支出が増えた計算です。

このように、「割引セール」を見るとついうれしくなって、いつもよりいいものやさほど欲しいわけではないものも買いがちです。「値段」「安い」にばかり目がいき、「本当に必要か?」という価値を忘れてしまうのです。

また、先にも少しお話ししましたが、定価の10%引きよりも特売のほうが安い場合も往々にしてあります。定価200円の10%引き=180円より、特売で178円のほうがお得ですよね。「全品〇%割引」「〇%還元」などのキャッチコピーに惑わされないためには、先ほども少しお話ししましたが、「単価」をチェックすることが大事です。

同じように、ネットのショッピングモールなどで行われているのが「○○マラソン」などのように、いわゆるスタンプラリーのようなイベントです。「3店舗でお買い物をするとポイント5倍」「5店舗でお買い物をするとポイント10倍」などの条件があります。「もう1軒回ったらポイントがアップする!」とついつい回ってしまうこともあるでしょう。ですが、ネットショッピングの怖いところは、お金を使っている感覚があまりない点です。

目の前で貯金の残高が減っていくわけではないので、買ったという意識が薄くなりがちです。後日になって「こんなに買い物していたのか!」とその総額に驚くのです。「安く買い物ができた!」と喜ぶより前に、支払い総額がいくらになるか? を気にしてほしいのです。

コストコ、業務スーパーはエンタメ

コストコや業務スーパーなどで売っている大容量やファミリーパックは、いっぱい入っているから絶対お得と信じ切っている人は、知らず知らずのうちにお金を使っている気がします。先の話にも似ていますが、大容量を買って食べきれずに結局捨てるはめになった、という場合もあるでしょう。

また、単価を見るとそれほど安くはないという場合もけっこうあります。肉も1kg、2kg単位だと迫力がありますね。ですが、グラム当たりに換算すると「激安!」というほどではない場合がほとんどです。「ブランド肉にしては安い」「値段の割に味がいい」というように、安さを追求する店というよりは「ものがいいから」「おいしいから」という理由のほうが大きいような気がします。

コストコの楽しみのひとつは、値段の追求というよりは、いろいろなものが売っていて楽しいという側面が大きいように思います。そういう意味で、私は「コストコはエンタメ」だと思っています。ですが、なんとなく「コストコ=安い」というマジックにかかってしまいやすいのも事実です。

コストコに比べると割安な感じが強いのが業務スーパーですが、ここにも注意が必要です。Mさんは食べ盛りの子どもが多いので、食費を浮かせるために業務スーパーに買いに行きました。ところが、子どもの口には合わなかったのか一切食べず、結局いつものスーパーで食材を買い直すことになったといいます。いくら安く買ったところで、食べずに残ってしまっては意味がありませんよね。