「ほかの仕事」の作業時間も考慮してスケジュールを組み立てる

会社に勤めている場合、通常、多くの事務作業が存在します。「営業は、営業活動だけをしていればいい」とはなりません。

朝会に出席したり、上司との面談があったり、部下の相談に乗ったり、経費精算や勤怠管理のための作業があったりします。もちろん、昼食の時間や休憩時間もあります。

また、多くの場合、ひとつだけの仕事を担当しているわけではありません。

田中耕比古『仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番』(フォレスト出版)
田中耕比古『仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番』(フォレスト出版)

営業ならば複数のお客様を担当して、それぞれのお客様の状況に応じた対応を行っているでしょう。

経営企画職であれば短期計画・中期計画を立てながら、複数事業の戦略を確認したり、予算との乖離を見定めて対策を検討したりします。何かひとつだけに集中し続けられる環境は、それほど多くはありません。

そのため、細かい単位に分解して作業時間を見積もった上で、ほかの仕事と組み合わせて、一日一日のなかに組み込んでいくことが必要になります。

ある日は、この仕事のために3時間使えるが、次の日はほかの仕事が忙しいので1時間しか使えないといったことは、当たり前にあるはずです。

そうしたなかでは、ある仕事の合計作業見積もりが10時間だったときに、2日あればできる、とは言い切れなくなります。「ほかの仕事も勘案すると、遅くても4日前には取り掛からないといけない」ということも十分起こり得ます。

ぜひ、「締め切りに間に合わせるためには、この日から手をつけておく必要がある」ということを、自分のなかで明確にした上で、作業スケジュールに落とし込みましょう。

これを上司や先輩に共有すれば、彼らは安心してあなたに仕事を任せてくれます。また、あなたが部下やチームメンバーを指導する立場であれば、彼らにも同じレベルで作業スケジュールを考えてもらうようにしましょう。

そうすることで、依頼した作業のアウトプットが、いつ頃、どういう状態で上がってくるのかをあらかじめ予測できますし、途中経過についても確認しやすくなります。

マイルストーンは「他者を巻き込んだ予定」で設定する

こうして、何をやるかを考えた上で、締め切りまでの間に、マイルストーンを置きましょう。マイルストーンは日本語で「一里塚(いちりづか)」と言いますが、旅の途中の目安となる「道しるべ」です。自分が旅程のどこまで来たのかがわかります。

マイルストーンを設定しておくと、自分がいつまでにどこまで進みたいのか、またその予定通りにしっかり進んでいるかをチェックできます。

マイルストーンを置くときのポイントは「自分だけの予定にせず、他者を巻き込んだ予定」にすることです。上司や先輩、あるいは、部下やチームメンバーとの「打ち合わせ」の形でセットしておきましょう。

・3日後の金曜日に、業界調査の結果を「上司」に共有する
・月曜日の夕方に、お客様の課題についての自分なりの考えを「先輩」と話す
・水曜日の朝に、提案イメージを「メンバー」に伝えて資料作りを依頼する
・金曜日の夕方に、依頼していた提案イメージを「メンバー」から共有してもらう

このようにセットしておくことで、その期日までに、誰が何をしないといけないかが明確になり、遅滞なく仕事が進むようになります。

しっかりと計画を立て、先々を見通すことができれば、仕事の質は必ず高まります。そしてそれは、周囲からの「仕事ができる」という評価につながっていくことでしょう。

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