仕事で評価の高い人は何をしているか。戦略コンサルタントの田中耕比古さんは「今問題がなく順調でも、仕事をどんどん先に進めようと考えてはいけない。トラブルは未来にある。リスクを早めに検知して、先手を打っていく姿勢が大切だ」という――。

※本稿は、田中耕比古『仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

コンピューターの仕事で立ち往生している女性
写真=iStock.com/mapo
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「何もない」ときこそ未来に起こるトラブルを考える

幸いにして、遅れが発生していない、問題らしき問題は見当たらない、ということもあります。素晴らしいことです。

そのまま仕事を進めればいい……と思うかもしれませんが、ここでもうひと手間加えましょう。順調なときに、油断しないのが「仕事ができる」と評価されるためのコツです。

「遅延がない、問題がない。だから仕事をどんどん先に進めよう」は、一見すると素晴らしく思えますが、この思考法ではトラブルを回避できません。

なぜなら、トラブルは「未来」にあるからです。

「遅延がない、現状問題がない」というのは、「過去」のことでしかありません。もちろん現在の状況把握も大事ですが、これから先に起こることを考えることが仕事をスムーズに進めるポイントになります。

「今のところ遅延も問題もないが、この先滞りそうなことはないか?」

と考えることが大切です。

そもそも、遅れにつながっていないミス、大事(おおごと)になる前に気づいて修正された問題……そういうものは仕事をしていれば、当たり前のように起こっています。

「何もない」は、あり得ないのです。

それらのなかには、あなたが気づいてうまく処理したものもあれば、ほかの誰かが気づいて事なきを得たものもあるでしょう。そうしたものを棚卸しして、「本当に、見すごしておいてよいのか」をチェックしておくべきです。

小さな遅れは簡単にリカバリーできますが、それが積み重なった大きな遅れは取り返しがつきません。そして今回お話しているのは、さらにその一歩手前で「遅れが発生する前に潰し込む」という考え方です。

具体的には「何か予定外のことはなかったか」を考えましょう。