スケジュールを無理に合わせようとすると破綻する

細かく仕事を分解して作業時間を見積もり、緻密(ちみつ)にスケジュールを組んでいくと、作業に着手する前に、「締め切りに間に合わない」と明らかになることがあります。

もちろん、再度、作業時間見積もりを行って短縮できるところがないか考えてみるのもよいのですが、大切なのは「無理して帳尻を合わせて押し込もうとしない」ことです。

「逆引き線表」という言葉があります。これは、締め切りに無理矢理間に合わせようとして、表面上だけ取り繕った線表(スケジュール)のことです。これを作ってしまうと、ほとんどの場合、破綻します。

実業家の残業
写真=iStock.com/PonyWang
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間に合わないものは、どうしたところで間に合わないからです。

「間に合いそうにない」となった場合、最初に考えるべきことは「締め切りを延ばせないか」です。当然ながら、締め切りが設定されている以上、そこにはなんらかの理由があるはずなので、簡単に延ばせるとは限りません。

そのため、多少無理をしてでも、なんとか間に合わせたいと思う人も多いでしょう。

しかし、無理して押し込んで結局間に合わないよりは、最初から締め切りを延長して、遅れない計画を立てるほうが数万倍マシな選択です。

いろいろ交渉してみたものの、「締め切りは絶対に動かせない」という話になった場合は、「やることを減らせないか」と考えましょう。

複数の仕事なら「ほかの仕事を調整する」ことも考える

たとえば、予定されていた業界調査や顧客調査の作業時間を短縮するために、上司や先輩、あるいはお客様などの有識者にヒアリングさせていただいて代替する、などが考えられます。

何かを100個作る、という話であれば、まずは50個だけ納品する、みたいなオプションもあります。また、チームを増員してもらうとか、外部業者に作業をお願いするなどのやり方で、担当する仕事の量を減らすこともできます。

「減らせること」「短縮できること」を考えても、まだ間に合わないときには、「ほかの仕事と調整できないか」を考えます。

一般的に、単一の仕事だけをやっている人は少なく、たいていは複数の仕事を担当しています。そこで、ほかの仕事のほうを調整するわけです。

ほかの仕事・作業は、この仕事の締め切り後に回す。ほかの仕事を、あなた以外の別の人にお願いする。ほかの仕事のいくつかを、やめる・やらないことを認めてもらう。そういう工夫の余地を探ります。

そこまで考えても、どうしても間に合わないのであれば、やはり、締め切りを延ばすしか選択肢はありません。ここまで準備してきた内容をもとに、締め切り延長の交渉をしていくべきでしょう。もちろん、上司や先輩が、もっとよいアイデアを持っているかもしれませんので、そのあたりを「相談」しましょう。