※本稿は、田中耕比古『仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
大事な仕事のために、脳内メモリーを空ける
目の前に、深く考えたり、しっかり集中したりしないとやり切ることが難しそうな「重いタスク」と、サクッと片づけられそうな「軽いタスク」があったときに、あなたは、どちらから手をつけますか。
私の考える正解は「軽いタスクを、さっさと終わらせる」です。
人間の脳内メモリーは有限ですから、一度に多くのことを考えたり、それらを同時に処理したりするのは困難です。何かひとつの物事にあたる際には、どうしても、そのことだけに処理能力を集中させることになります。
重いタスクは、長い時間がかかりますし、高い集中力も求められます。長時間集中して仕事をするときには、あらかじめ、気が散る要素を減らしておくことが望ましいです。
軽いタスク、たとえば、メールを返信する、会食のお店を予約する、打ち合わせの時間を調整する、会議室を押さえる、年末調整の書類を提出する、オフィスのコーヒー豆を注文する……といった「その気になれば一瞬で終わること」は、日々の仕事のなかでたくさんあります。
そういう軽いタスクをやらないままにしておくと、重いタスクに集中できません。
たとえば、大事なお得意様向けの営業資料を作る、来年度の売上目標をエリア・支店に割り当てる、四半期ごとの生産計画の振り返りと翌四半期の計画変更をする、コストと品質のバランスを確認して仕入先を見直す……
などの「じっくり考えなければいけないこと」をやっているときに、「あ、年末調整の書類を出さなきゃ」「明日のお店を予約していない。どこにしようか……」「そういえば、コーヒー豆がなくなっちゃうなぁ」
なんてことが脳裏に浮かんでしまうと大変です。集中力も実行力も鈍ってしまい、仕事のパフォーマンスが低くなってしまいます。