休む間もなく木を切るより、斧を研ぐ時間の確保を

「やるべきことが多すぎて、にっちもさっちもいかない」
「そんな状況なのに、また上司が『これもお願いできるかな』と言ってきた。もう勘弁してほしい……」

こういうとき、あなたは、どうやって対処しているでしょうか。

目の前に積まれた仕事を、ただひたすら手当たり次第に片づけようとしてはいませんか。ときにはそういうやり方しかできない状況もありますが、もし、常にそんな感じなのだとしたら、仕事のやり方を変える必要があると言えます。

とても忙しい(きこり)寓話(ぐうわ)をご存じでしょうか。

毎日毎日、休む間もなく木を切るのに忙しくて、斧を研ぐ暇がない。切れ味の鈍った斧で木を切っているので、作業スピードも上がらない。だから、ますます木を切る時間が長くなる。そんなお話です。

仕事で大変なときも同じです。木を切る手を止めるのは、怖いかもしれませんが、少しだけ立ち止まって考えて、斧を研ぐ時間を取りましょう。

ポイントは、「重要度」と「緊急度」の2つの軸で仕事を捉えて整理することです。

次のような手順で進めましょう。

1.すべての仕事をリストに書き出す
2.重要度と緊急度で整理する
3.やらないこと、他人にお願いすることを決める
4.急ぎの仕事(緊急度:高)を片づける
5.納期に余裕のある重要な仕事に手をつける

「4象限のマトリックス」で優先順位を確認する

1.すべての仕事をリストに書き出す

最初に、「今やりかけている仕事」「手をつけられていないが本当はやったほうがいい仕事」をリストアップします。細かいものも含めて、すべて書き出しましょう。

同期との食事会のセッティング、年末調整の書類提出といった細々とした「軽いタスク」も、すべて書き出してください。

この時点で、何かしらの判断や取捨選択をする必要はありません。むしろ、しないほうがよいです。まずは、リストを作ることに注力しましょう。

2.重要度と緊急度で整理する

もし、これが10行くらいであれば、安心してください。悩むほどのことはありません。息を止めて走り切れるボリュームです。気合を入れてやれば終わります。

しかし、これが30行くらいになったらどうでしょう。100行近くある人もいるかもしれません。そうなったときに、やるべきことは「優先順位づけ」です。

優先順位づけには、「4象限のマトリックス」を使います。シンプルですが、効果的なツールです。先ほどのタスクリストの一行一行に、「どれくらい重要か」と「どれくらい緊急か」という評価をつけて、各象限に配置してください。

緊急度については、具体的な納期・締め切りを書いてしまうのもよいでしょう。納期が近いほど、緊急性が高いわけです。

こうして、あなたの抱えている仕事が、重要度・緊急度で見たときに、どういう割合になっているのかを俯瞰(ふかん)してみてください。二次元平面上にタスクを並べることで、それぞれの仕事の位置づけを、直感的に把握することができます。