当社では、2020年の連結売上高5兆円の達成に向け、海外事業の拡大を視野に入れた組織や人材のグローバル化を急ピッチで推進している。

ファーストリテイリング
人事・採用・教育部 経営管理室 部長
佐藤崇史氏

海外の競争に打ち勝つ重要なファクターは人材だ。現在、4万7000人の従業員のうち日本人は3万2000人。目標の5兆円のうち4兆円を海外の売り上げが占めることになれば、日本人従業員比率は相対的に1割にまで減少すると見ている。また、執行役員20数人のうち外国人は5人しかいないが、この数を逆転させていかなければならないと考えている。2010年の新卒はグローバル規模で1000人を採用する計画だ。そのうち、出店数が多い中国では、2009年の倍の300人を採用する。国内の新卒採用は300人であるが、50人は留学生を含む外国人であり、数だけ見れば中国が上回っている。(※雑誌掲載当時)

しかも中国での成長のためにのみ中国人を採用するわけではない。中国で採用した人が店長を経て経営幹部になり、全世界に異動して活躍するようにしたいと考えている。同時に全世界の優秀な大学に我々人事が直接出向いて採用し、日本のユニクロに入社させる国境を越えたグローバル採用もやっている。

グローバル展開をするには「強い店長」が欠かせない。小売業である我々の唯一のプロフィットセンターは店舗であり、成長を支えるのは他社にない強い権限を持ち、現場の声を吸い上げながら会社を変えていく店長=経営者の存在だ。その意味で、人材育成がグローバル成長の最大のボトルネックになりかねない。

そのため、日本の全店長約1000人と本部の課長職以上の管理職100人の全員を、今後5年以内に海外に派遣する予定だ。アジアや欧米の9カ国・地域で展開する約150の店舗に異動し、原則3年以上は駐在させる。