東京にも熊が出没したことがある。ノンフィクションライターの中山茂大さんは「かつての東京では、見世物の熊や、個人で飼育する熊が脱走する事件が頻発していた。新宿や日本橋、日比谷といった繫華街が大騒ぎになったケースもある」という――。
ヒグマにエサを与えたYouTuberが大炎上
最近、とあるYouTuberの「炎上」が話題になった。
札幌市南区の住宅街の近くで、ある若者が、ヒグマにピザを与えるなどして動画を撮影し、YouTubeにアップした。すると、人にもらったエサに味をしめたのか、ヒグマの親子4頭が住宅地周辺をうろつくようになってしまった。
非常に危険であるため、最終的には箱罠によって母熊を駆除したという。
野生動物にエサを与えることについては賛否両論あるだろう。
ただ、日本でほぼ唯一の野獣であるヒグマには、絶対にエサを与えてはならない。
ヒグマは非常に嗅覚が鋭く、かつエサへの執着が強いと、多くの専門家が指摘している。エサを与えようと近づく人間に対して、ヒグマが攻撃的になる可能性が高い。
ましてや市街地に近い場所でのこのような行為は、絶対に許されない。
東京都心部にも熊が出没していた
市街地で熊が暴れて多数の怪我人を出した事例としては、令和3年に札幌市東区の住宅街にヒグマが出現し、一般人など4人が怪我を負った事件が記憶に新しい。しかし、かつて東京都心部でも、熊が繁華街に出没して、大騒ぎになったことがある。
筆者は明治初期から終戦前後まで約70年分の新聞を通読したが、筆者が把握している限りで、そうした事件が少なくとも8回は起きている。