「広報上手」の経営者が共通して持っているもの
ここまで勘違いによる炎上が発生する構図を見てきた。「業界の当たり前に浸り、世間の常識を見失う」「自分には人気があると勘違いしてしまう」「自分を諫める存在がいない」。これらは何も国会議員だけに当てはまるものではない。むしろ企業の経営者や部長以上の管理職のほうが、より陥りやすい構図ではないか。
私が経済記者として取材してきた「広報上手」の経営者には共通点がある。それは「自分を客観視する仕組み」を持っているということだ。
例えば「日本で最も広報上手な経営者」であるソフトバンク・孫正義社長はX(旧ツイッター)で一般の批判者ともよく絡んでいた。あるいは「目上」である渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆、あるいは異業種の著名人、中国のEC最大手アリババグループを創業したジャック・マー氏のような海外の有力企業の経営者など、「自分に忖度しない相手」とも積極的に交流していることで知られる。
今回の国会議員によるSNSでの炎上劇。企業の経営者や部長以上の管理職は「自分を褒め称えてくれる快適な空間」に止まることなく、炎上の根本的原因を「他山の石」とし、自らを諫めたいものだ。