失敗は「成功に至るまでのプロセス」

私の場合、ビジネスのプロデュースでも、まずは自分が率先してやってみますが、いきなり最初から予算をドーンとかけるのではなく、ミニマムで始めます。私はたくさん失敗もしていますが、「失敗だった……」と落胆するから文字通りの「失敗」になってしまうと考えています。

たとえ失敗しても、「成功に至るまでのプロセスだ」と思えばOK、諦めずにどんどん次をやるべきです。そして、「これは成功しそうだな」ということが見つかれば、そこでドーンと勝負をかけていきます。

いろいろなアイデアを実行に移すなかで、「どのように仕掛けるか」と同じくらい「誰と仕掛けるか」も重要です。これまで多くの人と話し、さまざまなマッチングをアレンジしてきましたが、単に出会わせるだけではうまくいきません。マッチングは、数多くの試行錯誤と失敗を重ねていって、ようやく精度を高めることができます。

私の場合、何かプロジェクトに取り組む際には、「こういうふうになりたいよね」と、課題の先に目指すものを意識的に熱く語るようにしています。そのときに「お前、熱いな!」と共感してくれる仲間であれば、プロジェクトはスムーズに進みます。

数字の力で人を動かす

さらに、より多くの人を動かしたいと思ったときに大事なのは「数字を出すこと」です。

研究イノベーション学会プロデュース研究分科、NPO法人ZESDA、久野美和子、原山優子、桜庭大輔『新版 プロデューサーシップのすすめ』(紫洲書院)
研究イノベーション学会プロデュース研究分科、NPO法人ZESDA、久野美和子、原山優子、桜庭大輔『新版 プロデューサーシップのすすめ』(紫洲書院)

私が茨城事務所にいた頃、開催したバイヤーのイベントがきっかけで梨の輸出が何倍にも膨れ上がったことがありました。それまでは北海道や静岡県での輸出事例を持ち出しても「他県でしょ? うちと関係ないよ」と言われていましたが、「隣町の梨の輸出が○倍!」という数字が見えると、徐々に「俺もやってみようかな」という雰囲気が生まれます。

これは「自慢」とは大きく違います。「すごいだろう、偉いんだぞ」というのは「アピールのためのアピール」です。成功事例を示す目的は、あくまでも「みんなもやりましょう!」と、後に続くペンギンたちが飛び込むきっかけをつくることです。

まず自分の熱意を共有できる少数の仲間を見つけ、実績をアピールすることで「点」を「面」にし、最終的にはオープンな姿勢で成功法を広めていく。そうすることで、より多くの人々に影響を与えるプロデューサーになれる、と私は考えています。

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