グローバル拠点での優秀な外国人の採用と定着に英語公用語化が不可欠との認識だ。現在の楽天の海外拠点は6カ国8拠点、海外売上比率は数%程度だが、将来的には進出国27カ国、海外売上比率を70%に高める構想を描いている。
公用語化の対象者は基本的にグループの全社員。公用語化の範囲は会議、資料、会話の3つにおける英語化だ。資料は法定書類や顧客・サービス向け文書を除く会議資料、議事録、規程類などのマニュアル、電子メールなどのすべての文書が英語化される。
会議の英語化といっても正式な会議もあれば、職場のちょっとしたミーティングなどインフォーマルな会議もあるが「会議と名のつくものは原則英語になる」(葛城プロジェクトリーダー)。しかも日本人同士であってもだ。
「今は移行期間であり、日本人同士であれば日本語でもいいが、11年4月からは一人でも外国人籍の社員がいる場合は英語となる。そして移行期間が終わる12年4月からは日本人同士であっても英語で会議をやることになる」
イントラネットはすべて英語表記
すでに社内では、イントラネット情報の英語化や会議英語化も始まっている。10年2月からは毎週月曜日朝に開催される全社員参加の「朝会」の資料が英語化され、4月からは三木谷会長兼社長のスピーチをはじめ各事業部のプレゼンテーションも英語に変わった。また執行役員が参加する経営会議も英語で行っている。
社内イントラネット情報の資料はもちろん日本語併記ではなく、すべて英語だ。移行期間であっても英語が不得意な社員は業務に支障を来すことになる。また、「各部署に毎週最低でも1時間、英語だけしか使えない時間を設けている」(葛城プロジェクトリーダー)など否でも応でも英語の習得を迫られることになる。
社内の“英語包囲網”は昇格・昇進にもおよんでいる。係長相当の初級管理職の昇格要件としてTOEIC(990点満点)600点、課長相当の中級管理職クラスは650~750点、執行役員手前の上級管理職は750点以上を設定している。現実に750点に満たない管理職も存在するが「移行期間中の2年以内に取ってくださいと言っている」(葛城プロジェクトリーダー)という。