人事部の採用担当は「いい学生が採れない」と嘆く。社会構造の変化は企業に多彩な人材、能力、スキルを求めている。今、企業で昇進できる人材の条件を人事部が語りつくす。

サービスグローバル化に対応するために楽天やファーストリテイリングが英語の社内公用語化を打ち出した。うちも外国人は採用したいが、社内を英語化しようとは思わない。

IT語学が重要になることは確かだよ。会社の選択研修科目にも英会話があり、結構受講している社員は多いが、あんまり上達したという話を聞かないが、半ば強制的にやらせたほうが身につくかもしれないとは思う。

商社僕は英語公用語化なんて大反対だね。日本の会社なら日本語でちゃんと組織が運営されることが基本だ。公用語にしたら組織がおかしくなる。それに英語は3年で身につくものではない。僕も海外に10年いた。最初はTOEICが900点以上あり、自信を持って赴任したけど、言いたいことも言えずに2年間は毎日泣いていた。英語ができ、なおかつ海外ビジネスのタフネゴシエイターになるには10年以上かかる。個々に英語を習得する努力は必要だと思うが、いきなり公用語というのは発想が安易だ。

化学バイリンガルの新卒でたまに3カ国語が話せますという学生がいる。すごいなあと思うんだけど、語学を除いたら、普通の学生とあまり代わり映えがしない。語学力はある程度のレベルであれば、海外の赴任前に集中的に鍛える講座もある。後は現地で泣きながら覚えてもらうしかない(笑)。

商社入社時の英語力はともかく、今後、昇進するには語学力が一つの要素となるのは間違いない。うちの取引先も含めて海外に出ていかざるをえなくなれば、海外出張や現地での会議が多くなる。海外の売上比率が高くなれば、英語ができる人間が会社を引っ張っていくことになる。中高年も英語力は必須になる。もちろん、国内マーケット専門で生きていく道もあるが、出世からいえば傍流だろう。

流通どんな部署に限らず英語は使わなくてはいけなくなる。以前、海外部門の人事をやったことがあるが、海外拠点の労務管理や人事制度の企画で頻繁にやりとりし、仕事の幅がいろんな意味で広がり、大きな仕事を任されるようになったし、その経験は今も生かされている。

IT会社によっては語学や学歴が入社するための一つのツールになるかもしれないが、入社後はまったく関係がない。とくにうちは学閥もないし、たとえ東大出身でも入ったら実力の世界だ。じつは社員を有名大学院卒、旧帝大、早慶、MARCHクラスに分類して、その後の評価と昇進はどうなったのか、密かに分析したことがある。驚いたことに結果はまったくの逆相関だった。部長クラスを見ると、偏差値が低い大学ほど多かった。東大に至っては皆無。もちろん、創造性、クリエーティビティが要求される業界という特殊性もあるかもしれないが。

【商社うちも学閥はないが、MARCHクラスの部長は少ない。というより当時の採用数が少なかった。でも、近年は増えており、課長クラスに昇進している社員も少なくない。10年先になると、部長、役員クラスは出身大学の違いだけではなく、外国人役員もいるなど様変わりしているのは間違いないだろう。。

※すべて雑誌掲載当時