踊り場から無理矢理跳ばされて、腰を圧迫骨折
いじめが背景の一つとなった重大事件としては、いわゆる佐賀バスジャック事件が挙げられます。この事件は、当時17歳の少年が高速バスを乗っ取り、その過程で、1人が殺害され、3人が重軽傷を負ったという事件です。
この事件で瀕死の重傷を受けた方は、その後、この事件を起こした少年やその両親と直接やりとりをする中で、事件の前に次のようないじめ被害を受けていたことを知ります。
中学校でひどいいじめを受けただけでなく、その中で、音楽室に忘れた筆箱をいじめた側から取り上げられ、「これが欲しいならここから跳んでみろ」と言われ、ある踊り場から無理矢理跳ばされて、腰を圧迫骨折してしまい、入院を余儀なくされていたのです。
その結果、高校受験も入院先でということになりました。志望校には無事合格したものの、入学から1週間ほどで高校に通えなくなり、不登校となっただけでなく、引きこもりも始まったそうです(※5)。
※5 岡田行雄=山口由美子「少年犯罪被害者になって」熊本法学149号(2020年)83頁参照。
担任の教師からボコボコに殴られる
ほか、傷害や窃盗等の非行で少年鑑別所に3回送致され、少年院に送致された少年が、空手をやっていた担任の教師から、馬乗りになってボコボコに殴られるという被害を受けていたことがインタビューで明らかにされるなど、非行少年の中には小学校時代から教師の体罰を受けてきたことが多いと示されています(※6)。
※6 非行克服支援センター『何が非行に追い立て、何が立ち直る力となるか 「非行」に走った少年をめぐる諸問題とそこからの立ち直りに関する調査研究』(新科学出版社、2014年)107~108頁参照。