従業員は「かわいい女の子」を狙っていた

自宅の見守りカメラで、私生活が覗き見られていた――。米Amazonは、家庭用ホームセキュリティカメラ「Ring(リング)」を製造する子会社・Ring社の従業員などが、利用者に許可なく映像を閲覧していたとする訴訟で、巨額の和解金を支払うことになった。

監視モニター
写真=iStock.com/scyther5
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原告である米連邦取引委員会(FTC)が5月末に発表した。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米AmazonがFTCとの和解のために580万ドル(約8億1000万円)を支払うことで合意した。

問題の焦点は、Ring社のプライバシーとセキュリティ慣行だ。FTCが公開した訴状によると、Amazonによる買収前まで、従業員と委託先企業の従業員が利用者の寝室や浴室などの様子を自由に視聴できる状態だった。

従業員の一人は、女性利用者らの数千本の録画映像を閲覧していた。「かわいい女の子」(pretty girls)を狙って覗きが繰り返されていたという。

このカメラは「見守りカメラ」とも呼ばれ、職場や外出先から自宅の様子をライブ映像で確認できる。Ring社のカメラはアメリカで代表的な地位を築いているが、利用者に安全・安心を提供するはずの製品が、セキュリティ上の最大の脅威となっていた実態が浮かぶ。

Ring社のカメラ
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AmazonはRingのウェブサイト上に、FTCが調査を開始する前にプライバシーとセキュリティの問題に対処したとのコメントを掲載している。「当社はFTCの主張に同意せず、法律違反を否定するが、今回の和解によりこの問題は解決され、当社はイノベーションに集中できるようになる」としている。