サイバー攻撃の実態はどうなっているのか。富士通シニアエバンジェリストの松本国一さんは「企業だけでなく個人のパソコンやスマホも標的になっている。リスクをゼロにすることは難しいが、まずはパソコンの定期的なアップデートを後回しにしないことだ」という――。

※本稿は、松本国一『20分で誰でもわかるサイバーセキュリティ「超」入門』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

ノートパソコンの警告アラート
写真=iStock.com/PUGUN SJ
※写真はイメージです

年間で5人に1人がサイバー攻撃に遭っている

セキュリティ被害につながるサイバー攻撃、当然ながら日本でも多く被害が出ています。どれくらいの被害が出ているかと言うと、2022年で被害額、推定ですが1045億円です。また、過去1年間で成人の5人に1人以上(21%)が被害に遭っていると推定されています(「ノートンサイバー犯罪調査レポート2023」より)。

2021年の1年間では約7人に1人(約15%)が被害に遭っていました。ということは、毎年のように日本の人口の1~2割の方々が被害者になる。つまり皆さんも他人事ではないのです。

デジタルカメラやスマートフォンを使って写真を撮ることがありますね。そのデジタルデータをご自宅のパソコンのフォルダなどに保存しているとします。これをランサムウェアが攻撃すると、写真データがすべて暗号化されてしまいます。どのようなことになるかというと保管データがパスワード付きの圧縮ファイルにされてしまう感じです。そして皆さんのパソコンの中にメモが残っているわけです。

「暗号化されたデータ、貴重ですよね。回復(パスワードを入手)したければここにアクセスしてお金を払ってくださいね」

パソコン上にある個人情報が取り出されると…

お金を払ったところで、その情報が取り戻せる保障はありません。さらに言うと、個人の写真がそのまま外部に漏洩してしまう可能性もあります。

自宅のパソコンにパスポートの情報やカードの番号、パスワードなどを記録している方もいらっしゃるでしょう。そんな情報も取り出される可能性があります。それが取り出されれば、カードの不正利用も簡単にできるようになってしまいます。

サイバー被害は、もはやいつ巻き込まれても不思議ではないのです。ですから、会社としてだけではなく、個人としてもしっかり認識しておく必要があるのです。