朝日、読売、毎日は記事の扱いが地味だった

では、この校則は認められるものなのか。朝日の記事を続けます。

〈判決は、校則について、華美な頭髪を制限することで学習や運動に注力させる目的などから合理的と判断し、茶髪に対する社会一般の認識に変化が見られるとしても、校則の合理性に影響しないと述べ、違法性を否定した〉
池上彰『新聞は考える武器になる 池上流新聞の読み方』(祥伝社)
池上彰『新聞は考える武器になる 池上流新聞の読み方』(祥伝社)

判決は、この校則の規定を認めたのですね。ただ、学校は不登校になった生徒の名前を学級名簿に掲載しないなど対応に行き過ぎがあったとして、判決は大阪府側に33万円の賠償を命じました。

こうやって新聞を読み比べることで、同じニュースでも書き方が異なることに気づきますが、私が気になったのは、記事の大きさです。

朝日は33面に見出し2段という地味な扱いです。読売は31面に、こちらも2段見出し。毎日は26面に1段の見出し。あまりに扱いが小さく、探すのに時間がかかったほどです。

裁判の意義までしっかり解説した日経新聞

これに対して日経新聞は40面に4段見出し。この面は、いわゆる第2社会面と呼ばれ、読者の注目度が高い場所です。日経の扱いの大きさが目立ちます。

さらに日経は、この裁判について解説も掲載しています。

〈大阪府立高校の頭髪の黒染め指導を巡る今回の訴訟は、海外メディアが「学校の過剰な注文」と報じるなど国内外で注目され、各地で髪形などを厳格に定める「ブラック校則」を巡る議論の発端だった。

ブラック校則は生徒の外見や行動などを過度に縛る校則を指す。規律を求める教育現場では校則が重んじられてきたが、社会で多様性の尊重が重視されるなか、校則のあり方も問われるようになってきた。(中略)校則見直しの動きも広がっている。大阪府教育庁は今回の提訴を受け、17年に府立高に校則の点検を指示した〉

ここまで書いてこそ、今回の裁判の意味が理解できます。

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