大阪の校則裁判を各紙はどう報じたか
新聞記事を読み比べると、同じ新聞社でも東京本社と大阪本社で掲載される記事が違っていたり、扱いに大小の違いがあったりすることに気づきます。全国紙でも紙面に地域性が出るのです。それは当然ですが、どこで起きたニュースでも、私たちに身近だったり論議を呼んだりするテーマであれば、大きく扱ってもいいのではないかと思うのです。
2021年2月17日の朝刊各紙の扱いを見て、その感を深くしました。学校の校則はどこまで認められるのかの裁判の判決が大阪地裁であったのですが、東京版は扱いが小さい社が多かったからです。
どんな裁判だったのか。大阪府立高校の元女子生徒が、「茶髪を黒く染めるよう繰り返し指導され、精神的苦痛を受けたとして」(朝日新聞朝刊より)大阪府に慰謝料を求めたもので、次のような判決でした。
〈判決によると、生徒は2015年4月に入学。同校には「染色・脱色」を禁止する校則があり、教諭らは生徒に黒く染めるよう何度も指導。「黒染めが不十分」として授業への出席や修学旅行への参加を認めないこともあり、生徒は不登校になったとした〉(同紙17日付朝刊)
「地毛が茶色だったのか」で印象は異なる
学校の校則といえば、最近は「ブラック校則」という言葉が生まれるほど、厳格な校則のあり方が問題になり、見直しを始めたところもあります。だから、この裁判はニュースになったのです。
この裁判の原告は、毎日新聞によると「生まれつき髪が茶色なのに、教員から黒く染めるよう再三指導されて」とあります。朝日の記事だと、生徒の髪が生まれつき茶色かどうかが、はっきりしません。もし、生まれつきの黒髪を茶色に染めていたら「茶髪を黒くしろ」という指導に納得する人もいるかもしれません。毎日だと、生まれつきの髪の茶色を黒に染めるように指導されたことになります。これでは行き過ぎだと思う読者もいるでしょう。
同じ判決なのに、記事の書き方で印象が異なります。