「中2数学が過去最高点」に注目した毎日新聞

朝日の記事は小4の「理科の勉強が楽しい」という比率が高いことに注目していますが、日経は算数・数学で「楽しい」と答えた生徒が国際平均を下回っていることを取り上げたため、一見正反対のような見出しになったのでした。

勉強している子ども
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです

一方、毎日新聞は心強い見出しでした。〈中2数学 過去最高点〉というものだからです。本文を読んでみましょう。

〈日本の結果は、中2数学の平均点が8点上昇して過去最高を更新し、小4算数と中2理科は過去最高だった前回並みの水準を維持するなど4教科すべてで5位以内をキープした。(中略)日本は上位層と下位層の得点の差が小さいのが特徴だ。(中略)文科省は「日本では都市部でも山間部でも一定の水準の教育が保たれ、教員の指導力の高さが下位層の子どもたちを引き上げているからではないか」と推測している〉

毎日の記事を読むと、日本の子どもたちの学力水準は高く、しかも上位と下位の差が小さいという理想的な結果になっています。日本の教育は素晴らしいと胸を張りたくなります。

読売新聞の結論は「高い理数能力を持っている」

では、読売新聞はどうか。見出しは〈小中理数 世界5位以内〉となっています。なるほど、全部まとめた表現ですね。本文はどうか。

〈日本は中2数学の平均得点が過去最高となるなど高い水準を維持し、算数・数学と理科の平均得点は小中とも世界5位以内だった。勉強が「楽しい」と答えた子供の割合も過去最高だった。(中略)文部科学省は「小中とも過去最高点だった前回に続き、日本の子供が高い理数能力を持っていることが示された。IT分野などで活躍する人材の育成につなげたい」とした〉

これを読むと、明るい気持ちになりますね。「日本の子供が高い理数能力を持っていることが示された」というのですから。

同じデータでも朝日を読むと少し不安になり、日経だと深刻な気分になりますが、毎日や読売を読むと、自信がつきます。

どれも間違ってはいませんが、色調が異なります。見出しだけでなく、本文の熟読が求められます。