スマホ原因のトラブル相談が増えている
スマホを小学生にも持たせているご家庭が年々増えています(モバイル社会研究所「スマホを持ち始める年齢10.3歳」)。通学途中に公衆電話もほとんど見かけることがなくなっていること、企業側も「家族割」「親子割」などのキャンペーンを行っていること、教育現場でもiPadなど使われておりスマホを持たせることに抵抗感が無くなってきていることも所持率が高くなっている理由として考えられるでしょう。
ただ、2024年に行った文部科学省の全国学力テストでは、スマホなどでSNSや動画を視聴する時間が長い生徒ほど、平均正答率が低くなる傾向にあると朝日新聞が報じています。
私自身も「スマホを原因とした人間関係のトラブル」に関するお悩み相談を受ける機会が年々、増えてきました。日本の教育現場では、2020年代に入ってから、ようやく電子黒板やタブレットの導入などの「モノ」が少しずつ導入されていたものの、「デジタル教育後進国」であったことは否めません。そのため、子どもたちが「リテラシー」を学校で学ぶ機会がなかったことが、人間関係のトラブルを未然に防ぐスキルを身に付けられていない原因の一つだと考えています。
さて、ここまで危機感ばかりを書きましたがここからが本題です。教え子の生徒たちから「部活の予定などの連絡はLINEを使っている」「カメラは、備忘録代わりになくてはならない」などの話を聞くと、現実問題としてスマホは持つなという短絡的な結論にいくわけにはいきません。しかし、特に受験生にとっては、「使い方を誤れば志望校の合否に関わるもの」だと考えるべきです。この記事が、スマホとの付き合い方の見直しとブラッシュアップのヒントとなればと思います。
勉強が二の次になっている
では、ここからは実際に受験勉強どころではなくなってしまった相談事例を4つご紹介します。まず全員に共通して言えることは「スマホを使っている時間がそもそも長すぎる」という点です。
【中学受験勉強中のAくんの母】
「朝学習をするように決めていたのですが、最近は起こしても二度寝してしまうような状況が続きました。決まった時間にはベッドに入っていたようで安心していましたが、実は布団の中でこっそり動画を見ていたようです」。
【中学受験勉強中のBさんの母】
「同じ塾の親友に飼い犬の写真を送ったら『この犬可愛くない』という返信が来て傷つき、勉強に手がつかなくなりました。楽しみだった修学旅行も楽しくなくなったと泣き始め、塾にも行きたくないと言い始めました」。
→実際は最後に「?」をつけたような上げ口調で読むのが正解で、相手は「犬が可愛いよね」と言いたかったという誤解だったようです。
【高校受験のために内申点を上げたい中学生のCくん】
「どうしてもスマホで動画を見てしまいます。わかっているんだけど、なかなかやめられなくて焦っています。受験も近づいてきているので、何か良い方法はないですか」。
【高校受験勉強中のDさん】
「私は図形の単元が苦手なので、YouTubeの解説動画を見ています。わかりやすくて、この方法ならやれるかも? と思ったのですが、模試の結果になかなか繋がりません」。
これらは本当によく相談を受ける事例ばかりです。まとめると、次のような共通点が見えてきます。