2012年7月17日(日本時間)にプレジデント連載「コヴィー博士のビジネス問答」の執筆者であり全世界2000万部の『7つの習慣』著者であるコヴィー博士が亡くなった。博士の功績を称え、ここに追悼する。
人間の成功は、先天的な要素より
後天的な努力でほとんど決まるんです
コヴィー氏の『7つの習慣』は、私がいままで読んだビジネスの指南書では最高傑作の一つです。彼が挙げている7項目の習慣を表面的にとらえ「あたりまえのことだ」と評する人もいるようですが、とんでもない。ちゃんと読めば、そこに時代を超えた成功の法則があることがわかります。
私はこれまで、40代と60代で2度通読しています。やはり読書は、人生の経験を重ねるとともに、読み方や感銘も深化していくものです。2度目のころ私は、家族と仕事についての本『ビッグツリー』を書くために自分の考えを整理していました。その参考に読み進むうちに、私とコヴィー氏の価値観が似ていると気づきました。
例えば、第一の習慣「主体性を発揮する」のところに「人生の責任を引き受ける」とあります。私も同様に「運命を引き受けなさい。それが、生きるということです」と語ってきました。主体性を持った生き方とは、自分が置かれた条件や環境のなかで志を持ち、不断の努力をしていくことです。
そのときに必要なのが、よい習慣の実践と継続。そうすれば、コヴィー氏が説くように「依存から自立へ、そして自立から相互依存へと成長していく」のです。ここでいう相互依存とは周囲との信頼関係を意味します。私も「よい習慣は、才能を超える」と主張していますが、彼のいう7つの習慣こそ“よい習慣”そのものでしょう。