全ての定期接種・任意接種のワクチンを
たまに、なるべく子供にワクチンを接種させたくないという保護者の方から「特に受けたほうがいいワクチンはどれですか?」と尋ねられることがあります。年齢によりますが、接種可能な全ての定期接種・任意接種のワクチンを受けるべきです。さらに海外に行くなら、国や地域によって感染しやすい病気があるので、その地域で必要とされているワクチンも全て受けていかないといけません。
感染すると、重症化したり後遺症が残ったり命に関わったりする危険性が高い感染症で、かつ開発がうまくいった場合だけワクチンがあるのです。よく「ワクチンを接種するより、感染したほうが免疫がつく」などと言う人がいますが、予防接種の目的は免疫をつけることではなく、合併症や後遺症で苦しまないこと、死なないことです。感染して抗体が上がっても、命を失ったりしては本末転倒でしょう。
また、日本では長いこと感染者がいない、あるいはとても少なかった感染症になった場合、すぐに診断できる医師は多くありません。ジフテリア、ポリオはもちろん麻疹や風疹ですら若い医師は実際に診察した経験がないのです。体が小さく未熟な子供、妊婦さん、基礎疾患を持っている人、またそういった人の近くにいる人たちは特にワクチンで自衛していただきたいと思います。
接種しておきたい新型コロナワクチン
以上のように、お子さんには定期接種および任意接種の全てのワクチンを接種していただきたいですが、そのほか新型コロナワクチンも接種していただきたいと思います。
最近の小児科外来は、新型コロナ対策をしていたおかげで少なかった溶連菌やRSウイルス、アデノウイルスなどのさまざまな感染症のために発熱で受診されるお子さんが多いです。そうして発熱外来に来たお子さんの保護者の方に、新型コロナワクチンの接種歴を尋ねると、「この子は1回かかったから受けていません」と言われることが多々あります。でも、新型コロナウイルス感染症は、一度だけでなく、何度もかかるもの。「インフルエンザにはかかったことがあるから、インフルエンザワクチンを受けません」という人はいないでしょう。
新型コロナワクチンは、今後は定期接種化することも検討されています。また、あまり報道されないので「子供は新型コロナウイルスに感染しても重症化しないし死なない」と思ったままの人がいますが、2022年1〜9月には20歳未満の基礎疾患のない人が29人亡くなっています。そのうち5歳未満は13人もいたのです(※6)。亡くならないまでも、後遺症で全身の血管炎である川崎病と非常によく似た「小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)」や「注意力障害」などになってしまった子供もいます。SNSを見ると「子供に新型コロナワクチンは必要ない。むしろ害しかない」などと言う人がいますが、大きな間違いです。

