引っ越しの見積もりサイトに登録してみたら…
“数打ちゃ当たる”でひとつでも成約できれば、利益の多寡はさておき、「一件、決めた」ということだけで、この行員はホッと一息つける。そうして契約が取れてしまえば、後はその投資商品の価値が上がろうが、下がろうが、どうでもいい。この行員にとっては「成約した事実」と「それに伴う手数料収入の確保」だけが大事なのだ。
あとは時折、顧客ケアをしているテイの電話をかけ、「いまは円安が進行中ですからね~。ここは、こらえどきですよ」などと、新型コロナウイルス対策における専門家(なんで未知の新型ウイルスなのに専門家がいたのか知らんが)みたいなことをのたまい、その場しのぎをする。決して顧客のことなど考えていない。考えているのは自己保身だけである。
そういえば以前、引っ越しの見積もりを取った際にもとんでもない目に遭った。昨今、引っ越しをするにあたっては、見積もりサイトを利用するケースも多いだろう。サイトのフォームに条件を入力するだけで、複数の引っ越し業者から同時に見積もりが取れる仕組みは、一見、便利である。「あとは、メールで送られてきた見積もりを比べて、いちばん条件のいい一社を選べばいいか」と、私も高をくくっていた。すべてネットだけで完結すると考えていたが、甘かった。
鳴りやまない営業電話に嫌気がさす
見積もりサイトで入力を終えた、わずか数分後。突然、電話がジャンジャン鳴り出した。「ぜひわが社にご用命ください!」という営業電話だ。初日だけでも20件以上の着信があった。
「まだ依頼先は決めていない」「もう少し検討したい」と言えば、翌日以降も電話がかかり続け、「もう決めた」と伝えても「もっと勉強します!」「上司と相談のうえで、かけ直します!」と粘られる。結局、1週間ほどのあいだに、引っ越し業者からおよそ100件の電話が来た。業者からすれば、私は「ぼったくり店が多数存在する通りに『声をかけてください!』というプラカードを掲げて、ノンキにやって来た素人」に映ったことだろう。
どいつもこいつも怪しいため、最終的には以前引っ越しを依頼したことがある大手業者に発注した。次に引っ越しすることがあれば、もうこの手のサイトは絶対に利用しない。もしかしたら数万円程度安くあがる場合もあるのかもしれないが、ひとたび登録してしまうと1週間は電話で追い立てられる。その不快さを回避するほうが、自分にとっては重要である。