腕の骨折で人生初の入院生活を送る

2020年、新型コロナ騒動が開始して以来、SNSでは「#医療従事者に感謝」なるハッシュタグが多数書き込まれた。だが、私はこのハッシュタグに対し、ずっと違和感を覚えてきた。

実は先日、人生で初めての骨折を経験した。左上腕の骨を折ってしまい、その治療のために入院したのだが、担当してくれた看護師が口にしたある言葉により、私が常々抱いていた違和感の正体を確信したのである。

退院の折、「本当にはお世話になりました。ありがとうございます」と謝意を伝えた私に、その看護師はこう言った。

「いえいえ、順調に回復されてなによりです。あ、『#医療従事者に感謝』なんてハッシュタグもいりませんからね(笑)。この街の城(唐津城)も『医療従事者に感謝』の気持ち表すとかなんとかで、夜に青いライトアップをしていましたが、『そういうの、不要なのに』とずっと思っていました。東京では『感謝』を目的にわざわざブルーインパルスを飛ばしたそうですね? 正直、いらなかったのではないでしょうか」

私のように、コロナに対して「騒ぎ過ぎ」「過剰な感染対策は不要」といった意見を表明し、毎度ボコボコに叩かれてきた人間だけでなく、当の医療従事者も「#医療従事者に感謝」に対する違和感を持っていたのだ。

バルコニーから医療スタッフに拍手を送る家族
写真=iStock.com/vejaa
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「#医療従事者に感謝」は欺瞞

コロナ期間中はとにかく「マスクとワクチンは至宝」「感染対策をしない人間は公衆衛生の敵」「マスクをせず、ワクチンを打たない者はバイオテロリストで犯罪者」といった論調が完璧にできあがっていた。しかし今、人々はしれっとマスクを外し、7回目のワクチン接種率はおよそ10%(11月21日時点)である。

いや、われわれ「無意味なマスクやワクチンを強制するな」「自分の頭で冷静に判断し、1日も早く以前の生活に戻るべきである」と主張する者たちを叩き続けた大多数の国民の皆さんよ、欠かさずマスクを付けて、ちゃんと7回目のワクチンを打ちなさいよ。両方とも素晴らしいものなんでしょ? お医者さんが「マスクとワクチンが大事」って言い続けていましたよね? 私と個人的に付き合いがある他の医療従事者も上記の看護師と同様の感想を述べていたのだが、本稿では「#医療従事者に感謝」というハッシュタグの欺瞞ぎまん性と、医療従事者に対して本来どのような態度で接するべきなのかについて書いてみる。