医療に携わる人々の仕事ぶりに感銘を受ける

私が今回のケガで強く認識したのは「#医療従事者に感謝」というフレーズには欺瞞性が拭えない一方、「#私を担当してくれた医療従事者に感謝」という言い回しであれば、素直に同意できるという感覚の違いである。

今回、骨折をして入院したことにより、病院という場所の役割とそこで働く人々の貢献を深く知ることができた。誰もが実に見事な仕事ぶりで、いやはや、なんと誠実なプロ集団だろうと感じ入った。

まず、自分を搬送してくれた救急隊員の迅速な動きにより、夜間でありながらもすぐに病院に受け入れてもらうことができた。病院では、放射線技師が即座にレントゲンを撮影してくれて、外科医が基本的な処置を施し、ギプスを巻いてくれた。そして週末を挟んだ3日後、再び病院に出向き、今後の手術日程や治療方針を伝えられた。

実際に入院してみると、看護師が定期的に検温等にやってきては体調を尋ねてくれる。「痛さについて、最も痛いときが10とした場合、今はどれぐらいですか?」といった質問もあり、痛みが激しい場合は痛み止めの薬を用意してくれた。また私の場合、全身麻酔での手術だったため、担当の麻酔医が手術前日に注意点などをレクチャーしてくれたのだが、こちらの不安を察してわかりやすく解説してくれたことも印象深い。

著者の左上腕部レントゲン写真。右が手術前、左が術後。
筆者提供写真
著者の左上腕部レントゲン写真。右が手術前、左が術後。

「#私を担当してくれた医療従事者に感謝」であれば納得

手術当日は執刀医が見事な施術で無事に処置を終えてくれた。骨を棒状のチタンとボルトで固定したので、あとは骨がくっつくのを待つのみである。術後の経過も順調で、ほどなくリハビリがスタート。担当してくれたPT(理学療法士)と私は妙に気が合い、腕を動かしてもらうリハビリの最中、ヘンな言い方だが毎日楽しかったのである。

曜日や時間によって看護師はさまざまだったが、患者ごとに情報がすべて共有されており、誰が担当しようと全員が私の置かれた状況を把握していた。申し送りが適確で、何に苦しんでいるかを知っているから、患者への向き合い方がとても丁寧なのだ。現在、私は手術を受けた総合病院を退院し、別のリハビリ病院に通っているが、こちらも同様に丁寧である。こうした一連の経験を通じて「#私を担当してくれた医療従事者に感謝」であれば納得できることに思い至った。