はるかに、深くものを考えられる

「90歳まで生きてきてよかったことは何ですか」とたずねると、60歳の時よりも「はるかに、深くものを考えられるようになった。だから、こうやっていい文章が書けるようになった」とおっしゃいます。これは凄いことです。今58歳の私には、よい目標になります。

「代表作は何ですか?」と聞いたら、「次に書く本です」とおっしゃる。

90歳で、まだまだ書く気でおられるんです。

タイマーで、「原稿は90分」「日記は30分」「風呂に30分」と時間配分をしている。

諸富祥彦『50代からは3年単位で生きなさい』(河出書房新社)
諸富祥彦『50代からは3年単位で生きなさい』(河出書房新社)

無理はしないようにしている。もっと書きたいことがあっても、もう寝るようにしている。忘れないようにするために、見出しだけ書いて忘れないようにしておく。

こんなふうにおっしゃっていました。

お話をうかがって改めて、青木羊耳さんは私たち中高年のよき「人生のモデル」だと思いました。

90歳になって60歳の時よりも、いい文章が書けるようになっている。60歳の時よりも深くものを考えることができるようになっている。全国で講演活動を続け、人間関係を楽しんでいる。

本当に理想的な「人生後半」の生き方です。

そしてその核となるのは、青木さんの言う「寝るのも食べるのも忘れて打ち込むことのできる何か」と出合い、それを天職として生きることなのです。

【関連記事】
「悲しみの深さ」は関係ない…大切な人を失った後に「うつになる人」と「ならない人」のたったひとつの違い
50歳前後で"出世の見込みが消える"ことは素晴らしいこと…会社員歴40年のお金のプロがそう断言する理由
「65歳を過ぎたらラクなことだけやりなさい」和田秀樹が定年後は遊び半分で生きることを勧めるワケ
「もう70歳なんだよね」と絶対口にしてはいけない…和田秀樹「老け込んで見える人に共通する言葉使い」
その場にいる全員がイヤな気持ちになる…銀座ママが「うちの店では絶対させない」と断言する"3K話"とは