※本稿は、和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
平均寿命の長さは平均年齢の高さにつながるのか
日本の年齢構成はいま、逆ピラミッド型になっています。
人口がいちばん分厚い層が、この本の読者層でもある70代前半の団塊の世代なのですから、ある意味、当たり前のことかもしれません。
そして、現在、40代後半から50代前半の団塊ジュニアの層が、団塊の世代に続いて層が厚くなります。
70代の人口が多いわけですから、それに応じて日本人の平均年齢も高くなるはずです。このことはすぐに納得できることだと思います。
では、それは何歳なのか。
48歳前後、ざっくりと40代半ば過ぎと考えていいでしょう。
ただ、平均寿命が長いのだから平均年齢も高いという見方は当たっていません。おおまかな傾向としてはそうなりますが、相関するわけではないのです。
たとえばアメリカ人の平均年齢は38歳前後、こちらはまだ30代後半です。日本とは、ほぼ10歳の開きがあります。でもアメリカ人の平均寿命は79歳ですから、日本人とそれほど差があるわけではありません。
もう少し数字を挙げてみましょう。
1950年の日本人の平均年齢は26歳でした。
つまり、団塊世代が生まれて間もない頃は、日本の社会全体が20代半ばの若者に満たされていたことになります。それがいまでは、20歳以上も平均年齢層が上がったことになります。
ちなみにアメリカは1950年の平均年齢が31歳でした。それから70年近くも経っているのに、平均年齢は7歳しか上がっていません。
この数字をどう受け止めますか?
70年前より日本人の「心理年齢」は20歳も若返っている
数字だけを見て、「日本人も老けたなあ」と受け止める人もいるのではないでしょうか。ただ、よく考えるとわかりますが、それはまったく違うのです。
平均年齢のこの変化は、むしろ、それとは逆の受け止め方ができるのです。
日本人の「心理年齢」が、20歳以上も若返っていると言えるのです。
「心理年齢」――日本の社会の中で、自分を心理的に若い世代と感じるか、中心となる世代と感じるか、やや歳をとっている世代と感じるか――は、平均年齢で決まります。
たとえば、1950年の日本人の平均年齢は26歳だったので、当時、26歳の人は、自分を若くもなく、歳をとっているわけでもなく、まさに日本の中心の世代と感じていたでしょう。
当時、35歳前後の人は、自分のことをいまで言う「おじさん」「おばさん」のように感じていたはずです。
さらに、45歳前後だった人なら、平均年齢より20歳近くも上なので、自分のことを「年寄り」とさえ感じていたかもしれません。
平均年齢より20歳近くも上ということは、いまで言えば60代後半。あながち間違ってはいないでしょう。
つまり、いまの「60代後半」は、昔で言えば「40代半ば」の感覚なのです。
日本人は「老けた」のではなく、確実に「若返っている」のです。