定年後の人生を楽しむための秘訣は何か。医師の和田秀樹さんは「『定年を迎えた』ということは、仕事に対する最大最強の『かくあるべし思考』から完全に解放されることだ。何ごとも遊び半分と、胸を張って無責任のまま生きればいい」という――。
※本稿は、和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
70代になったら「かくあるべし思考」を捨てなさい
70歳を過ぎたら、「好きなことだけをする」という選択もあります。
「遊んで暮らす」のが、70代人生の理想だと私は思っています。
ですから、やりたくない仕事や役割はムリして続けるのは、時間がもったいないと思います。
そしてこれがいちばん大事なことですが、高齢になればなるほど、「いろいろなものから自由になる、解放される」といった気持ちを大切にしたほうがいいのです。
心を伸びやかにして、残された人生を楽しむためにも、どういうものであれ自分を縛るようなことはしないほうがいいのです。
まず捨てたいのは「かくあるべし思考」。
たとえば、会社勤めの間は、とにかく「定年までは働くべきだ」いう気持ちがあったはずです。この「かくあるべし思考」があったからこそ、仕事で嫌なことや、苦しいことがあっても、我慢して働いていたわけです。
また、仕事に対する責任感とか義務感といったものも、考えてみれば、「かくあるべし思考」が根本にあります。
「どんな仕事であれ、逃げ出したり、放り出したりせずに取り組むべきだ」と思うからこそ、責任感、義務感が生まれるわけです。