「70歳になる」とは「自由になる」ということ

ただ、仕事がうまくいっているうちはいいのですが、うまくいかなくなると、その責任感や義務感に追いつめられることになります。それに耐えられる人もいるでしょうが、心が病んでしまう人もいます。

そんなときは「かくあるべし思考」を捨ててもらうと、ラクになることが少なくありません。実際、職場でうつに苦しむ人は、医者の診断書をもらって休職が認められただけで、ずいぶんラクになるものです。

実際の治療に入らなくても、医者の診断書をもらったことで、「かくあるべし思考」からいったん解放されるので、それまでの苦しさが消えてしまうことがあるのです。

「定年を迎えた」ということは、仕事に対する最大最強の「かくあるべし思考」から完全に解放されるということです。

人によっては「あと5年は働かないといけない」といった拘束があるかもしれませんが、定年前ほどの縛りは消えています。「かくあるべし思考」から解放されているので、「いざとなれば、我慢して働く必要もない」という意識が、どこかにあるからでしょう。

それでいいのです。

仕事だけではありません。

子どもの教育とかマイホームのローンなど、いままで自分を縛っていたものが1つずつ消えていくのが、60代。気がつけばどんどん身軽になっているのが、年齢を重ねるということなのかもしれません。

70代からは、その「身軽さ」を楽しみたいものです。

「70歳になるということは、自由になること」なのかもしれません。

そう考えれば、こんなに楽しく嬉しいこともないはずです。

「何ごとも遊び半分」が、脳を老化させないコツ

70代は「自由の時代」――と考えていいでしょう。

そう考えれば、何ごとも、いままでのような拘束力はありません。

地域の活動だって、ボランティアだって、自分がやりたいと思ったらやればいいし、時間がもったいない、ムダなことだと思ったらやめたほうがいいのです。

趣味も、つき合いも、すべて同じ。

「つまらないな」と思ったら、やめていいのです。

と言うより、「つまらないな」と思ったら、やめたほうがいいのです。

「何ごとも、中途半端に終わらせてはいけない」という考えは、会社員時代に長く染みついてきた「かくあるべし思考」に過ぎません。「別に仕事じゃないんだし」と思って、つまらないと感じたら、その場でおしまいにしてしまいましょう。

そうしないと、70代のせっかくの貴重な時間をムダにしてしまいます。

昔であれば、そのような態度は、「遊び半分」と思われて、否定的に考えられたものです。嫌悪感を抱く人さえいました。

とくに、団塊の世代は、真面目な努力家が多いので、その傾向があるように思います。

実際、会社員時代、仕事が中途半端に終わってしまったときなど、「まるで遊び半分じゃないか!」と、反省していた人もいるのではないでしょうか。

でもこれからは、すべて「遊び半分」にしたほうがいい年齢なのです。