年を重ねて物忘れが増えたと感じたら何をすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「70代以降はメモ魔になりなさい。物忘れが始まってもすべての機能がダウンするわけではない。書くというアウトプット自体が良い脳トレになる」という――。

※本稿は、和田秀樹『80歳の超え方』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。

彼女は湖畔の桟橋、ルガーノ湖のジャーナルに書いています
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デイサービスで「嫌いな計算ドリル」は脳によくない

一時、認知機能低下予防ということで、高齢者に「脳トレ」の計算ドリルや漢字ドリルをやらせることが流行っていました。私はてっきりこのブームも下火になったかと思いましたが、コロナ禍のひきこもり生活の中で、人気が復活しているという話を聞きました。

脳トレはデイサービスでもとり入れているところも多いでしょう。ある女性は、「算数は嫌いだったのに、この年でドリルをやらされる」と嘆きます。それがデイサービスに行きたくない理由になっていました。

聞くと、同じテーブルの認知症の女性が脳トレどころか、難しい数独もこなし、得意満面なのだとか。その人に比べると、自分はどうして数字に弱いのだろうと落ち込むそうです。

デイサービスに行ってまで、優劣を気にするなんてばかばかしいです。嫌なことをやるのは脳によくありません。計算ドリルが好きな方もいますが、苦手な人も多いのです。

本屋さんでも、脳トレドリルが売られています。

こんな話も聞きました。娘が家に来ると「計算ドリル」を置いていき、「毎日やるように」と言って帰ります。

さぼっていると、娘が来たときに「お母さん、全然やっていないじゃない。これじゃあ、ボケるよ」と怒られるそうです。親に宿題をやれと責められた子どもの復讐にも見えてしまいます。

計算ドリルをやっても、その人たちの認知機能が向上するとは限りません。認知症と診断されても、会計士などをやられていた方は数字だけは得意という人もいます。