高齢者になっても人生を豊かに楽しむコツは何か。定年後に産業カウンセラーへと転身した90歳の男性はSNSにみずみずしい文章を綴りながらイキイキとした毎日を過ごしている。人生後半は時間を忘れ、食事も忘れて打ち込める何かを見つけておくことが重要だという。明治大学文学部教授の諸富祥彦さんが書いた『50代からは3年単位で生きなさい』(河出書房新社)より紹介しよう――。

※本稿は、諸富祥彦『50代からは3年単位で生きなさい』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

ビジネスマンの挨拶
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人生後半を生きるコツは「時間を忘れて打ち込める何か」を見出すこと

今、私が人生後半をどう生きるかということを考えたときに、一番理想だと思える方の1人が定年後に産業カウンセラーへと転身されて活躍されている青木羊耳さんです。90歳の今も各所で講演し、著作を書き続けています。

私の父は、67歳で死にました。大学院の指導教官は63歳で亡くなりました。職場の隣の研究室の先生も同じ63歳で亡くなりました。青木さんは、私の指導教官や隣の研究室の先生よりもすでに、27年も長く生きていることになります。

青木さんは、Facebookもよく書かれているんですけれど、90歳で実にみずみずしい文章を書かれる。場面がありありと思い浮かぶような描写をなさる。これが90歳の方が書く文章なのかなと思うような文章なんです。

ご本人も「90歳になって、前よりも深く考えることができるようになった」と、そうおっしゃっています。

90歳になった青木さんの日課は、お散歩とカフェで原稿を推敲することだそうです。健康のために歩いているのではありません。歩いていると、脳が活性化してきて、いい文章が思い浮かぶんだというんです。そしてカフェで、原稿の推敲をして過ごす。

そんな青木さんに、人生後半を生きるコツをたずねると、一番重要なのは、「時間を忘れ、食事も忘れて打ち込める何かを見つけておくこと」。

そうすると、健康もお金も自然とついてくる、と言います。

「時間を忘れ、食事も忘れて打ち込める何か」を見つけておくと、自然とそれが仕事にもつながるし、だからお金も入ってくる。そうして活動していることが、精神的な健康にも肉体的な健康にもつながると言うんです。

これは、真理をついていると思いますね。