打ち込めることを見つける3つのポイント

これは若くても、年を取っても、そうなんじゃないでしょうか。

大正時代に、哲学者の阿部次郎が著した『三太郎の日記』という、若者のバイブルになった本があります。この中でも「魂を打ち込める何か」を見つけて、それを仕事にすることができるならば、人生の幸福の8割は手に入れたようなものだと言われています。

つまり、楽しいこと、ワクワクしながら打ち込めることを仕事にすることが「幸福の一番の秘訣」だというんです。

これは、本当にそう思います。

では、どうやって時間を忘れ、打ち込めるものを見つけられるのか。青木さんにたずねると次の3つだと言います。

①子どもの頃の興味・関心を探してみる

今、何をやったらいいかわからない人は、小学生や中学生の時になりたかったものを思い出してみましょう。そして、その中で、今の自分に活かせるものを探すのです。

②どんな本や映画に関心があるか

どんな本に惹かれたか。どんな映画に惹かれたか。自分が何に関心があるかは、読んでいる本や映画を思い起こすと、わかるかもしれません。

③出たとこ勝負である

これが、3番目のコツ。あまり人生を計画的に決めつけすぎないということです。これをキャリア心理学では「プランド・ハップンスタンス」と言います。プランド・ハップンスタンスというのは、「計画された偶然性」という意味です。プランドは「計画された」、ハップンスタンスは「偶然性」という意味です。

「計画された偶然性」の理論というわけなんです。

では、偶然を計画するというのは、どういうことか。「計画的に偶然を大事にする」ということです。

大まかに言えば、あえて長期的な計画を立てずに「出たとこ勝負」でいくのです。

青木さんはもう90歳なんですけれど、とりあえず明日やることだけメモして寝ると言います。明日になって、朝起きた時に、「今日は何をするんだっけ?」とならないようにしている。

今を大切に生きる。悔いのない時間を少しずつ刻んでいくことが、いい人生を生きていくコツだというわけです。

健康とお金の話ばかりの人はダメになる

青木さんはこういうふうにおっしゃっていました。

65歳以降の人で話題が健康やお金のことばかりの人は、ダメになる。

健康やお金の話題ばかりをしている人が、中身が空虚な人生を生きている人の特徴であるというわけです。

日本の1万円札の山を持つ男。
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65歳以降の人生をどう生きるかを考えていない人が多すぎる。できれば、50歳の早い時期から、遅くても55歳から準備を始めることが大事である。それから数年準備をして、60歳になり、65歳になることが重要だというわけです。

青木さんは40代のとき、金融機関に勤めていた。当時は高度経済成長の真っただ中で、定期預金に貯金をするだけで1年で6%、7%という利率が付いていた。7年とか10年とか、定期預金に置いておくだけでお金が倍になった時代です。

その中で、とにかくお金を集めろ、少しでも集めろというのが、金融機関に勤務されていた青木さんにとってのミッションだった。ひたすら接待漬けの毎日を送る中で、45歳の青木さんは、

「これは、何か違うんじゃないか?」

私はこんな人生を送るつもりだったのだろうか、早く抜け出したほうがいいんじゃないかと、疑問を抱き始めた。