老化の分かれ道は「若く見られたい」と思えるか
70代の男女を比較すると、男性は女性以上に保守的になるように思います。
ちょっと意外に思う人もいるかもしれません。と言うのも、70代の男性と言えば、団塊の世代だからです。
団塊の世代と言えば、学生運動あり、ヒッピー文化ありと、まさに日本人の価値観が激動する中で青春時代を過ごしてきた世代です。
考えようによっては、70代の男性は、いま生きている日本人男性の中では、もっとも革新的な世代であったはずです。
そのもっとも革新的だった世代の男性が、70代になると保守的になる。
実際、70代になって、「70歳を過ぎて、ギラギラしているのはみっともない」といった「歳相応の考え方」をするのは、女性よりむしろ男性のほうが多いように思います。
女性はどうかといえば、80歳だろうが、90歳だろうが、若く見られることを素直に喜ぶものです。
逆に、男性はあまり見た目を気にしなくなります。
それが老化につながっていくのです。
実際、70代の夫婦は、ほとんどの場合、女性のほうが活動的で元気です。男性は定年を迎えてしまうと人づき合いも減るし、外出の機会も減ってきます。
もちろん、最近は、元気な70代がどんどん増えています。男性でも地域やボランティアの活動に積極的に参加したり、会社勤めの頃には遠ざかっていた趣味や遊びに夢中になったりする人もいます。
ただ、全体としては、そういう男性はまだ少数派のように思います。
高齢者医療の現場にいると、実際、元気のない70代男性をよく目にするのです。
「男性ホルモンの減少」という大問題の解決法
70代の男性は、同世代の女性より、枯れてくる人が多い――。
70代のこの男女差は、性ホルモンの量で説明できます。年齢とともに、男性は男性ホルモンが、女性は女性ホルモンが減ってきます。
性ホルモンとは、簡単に言えば、男女それぞれの「らしさ」を作るホルモン。
ですから、年齢とともに、男性は「たくましさ」が、女性は「ふくよかさ」が、明らかに外見から失われていくことになります。
ただ、これは「見た目の問題」だけではありません。
「心の問題」でもあるのです。
男性ホルモンが減ってくると、男性はどうしても「意欲」や「バイタリティ」が衰えてくるのです。これが枯れてくる70代男性が多い理由です。
それに対し、70代の女性がなぜ活発で行動的になるのかと言えば、女性ホルモンが減る代わりに、男性ホルモンが増えてくるからです。それまでは押さえ込まれていた「意欲」や「バイタリティ」が勢いづいてきます。
実際には、もっと複雑な生理的メカニズムが働いているのですが、わかりやすく説明すればそういうことになります。
ただ、70代の男性は、この現状のままで満足なのでしょうか。
人生100年時代、寿命が延びて、仕事をリタイアしても長い人生が残っています。それなのに、自分からわざわざ「枯れてくる70代人生」を目指す必要はないでしょう。
その解決策の1つが、ズバリ「肉を食べること」なのです。
「たくましさ」や「意欲」「バイタリティ」をよみがえらせるだけでなく、70代にもなれば、誰もが穏やかで心の広い男性になりたいと思うはず。
そのためにはまず、幸福感に満たされていなければいけません。
そして、その幸福感をもたらしてくれるのも、肉なのです。