「すみませんではなく、申し訳ありません」「上司にはご苦労ではなく、お疲れ様」「資料を提出させていただきます」など、国語学者から見ると“おかしな日本語”が急増している。バカにされずに日本語をスマートに使いこなすにはどうしたらいいのか。3月24日(金)発売の「プレジデント」(2023年4月14日号)の特集「頭がいい文章、バカな文章」より、記事の一部をお届けします――。
間違いだらけの日本語の乱れに警鐘!
取引先にお詫びのメールを送らなければいけないとしましょう。
「このたびは申し訳ありませんでした」
このように書くと、相手は許してくれるどころか、かえって怒り出してしまう可能性があります。それは「申し訳ありません」、あるいは「申し訳ございません」が日本語として間違っているからです。
なぜ「申し訳ありません」は誤用なのか。それは「申し訳ない」が一語だからです。「申し訳ない」は、もともと「申し訳」と「ない」がくっついてできた複合形容詞です。一語になった以上、その一部を変えて「申し訳ある」と表現するのは間違い。よって、その否定形である「申し訳ありません」と丁寧にした「申し訳ございません」は誤用です。謝意を正しい日本語で伝えたければ、「申し訳ないことでございます」あるいは「申し訳なく思います」と書くべきです。
ただ、実際にメールに「申し訳ありません」と書かれて怒り出す人は100人に3人もいないでしょう。結局、誤った用法が受容されるかどうかは相手しだいです。