レンタルは「来店を促すための武器」

最後に、わたしが一番気にしている「GEOのレンタルはなくなっちゃうの?」という心配についても考えてみたいと思います。

実はゲオは「縮小市場であってもレンタルに力を入れる」という戦略的な意義を表明しています。実はレンタルにはGEOへの来店を促す力があるのです。

ゲオによればGEOの店舗にいつも客がたくさんいる理由がふたつあって、ひとつは強化商品であるiPhoneを高く買ってくれること、そしてもうひとつがレンタルが存在することだといいます。リユースや新品の商品が売れるためには店がにぎわう必要があり、店がにぎわうためには客が定期的に足を運ぶ理由があったほうがいい。その観点で考えるとDVDレンタルは店がにぎわうための強い武器になるのです。

レンタルビデオ店の棚
写真=iStock.com/BestForLater91
※写真はイメージです

ゲオはレンタル市場の残存者利益が確保できる

しかもDVDレンタルに関して言えば経済理論でいう残存者利益が確保できそうです。これも先述した通り、世の中では10年間で音楽・映像のレンタル市場は3分の1に縮小しています。その一方でGEOのシェアは49%とほぼ市場の半分にまで到達しています。

近場でたくさんの品をそろえているレンタル店がGEOしかなくなってくれば、市場が縮小したとしてもお店は繁盛します。しかもGEOではレンタル用の在庫を市場縮小に合わせて圧縮していて、現在では8年前の3分の1まで負担を減らして対応しています。私はGEOのオンラインレンタルもよく利用しますが、オンラインレンタル店では人気アーティストの音楽CDはいつも誰かに貸し出し中です。つまり在庫の回転率がとても高くなっているのです。

このようにストリーミング主流の時代にもかかわらずゲオは企業として大いに発展をしているのです。このように捉えると企業経営って面白いですよね。

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