「ビジネス書同士の矛盾を楽しみましょう」

このように「イヤだったら断れ派」の主張を貫くのが困難なときは、大変心苦しいのですが、修行期間と割り切って「どんな依頼も断るな派」になる必要があります。どんな依頼も「くるもの拒まず」の姿勢で仕事をこなし、経験を積み、スキルの幅を広げていきましょう。そうすれば、少しずつ「替えのきかない人材」へと進化していくはずです。

何をお伝えしたかったのかというと「ビジネス書同士の矛盾を楽しみましょう」ということです。複数のビジネス書の教えが矛盾しているときは、「教えが矛盾しているのはおかしい」と思考停止するのではなく、次の論点を考えてみましょう。

・なぜ教えが矛盾しているのか? それぞれの著者が置かれていた文脈は何か?
・一見すると矛盾しているように見える教えだが、どういう説明をすれば「教えが矛盾していない」といえるか?
本山裕輔『投資としての読書』(フォレスト出版)
本山裕輔『投資としての読書』(フォレスト出版)

このような視点でビジネス書と向き合ってみると、先ほどの「イヤなことは断れvs.イヤなことでも断るな」のような矛盾も紐解くことができます。

ほかにも本書では「積読は減らすべきか、減らさなくてもよいか」「速読したほうがいいのか、熟読したほうがいいのか」など、さまざまな二項対立について論じています。二項対立や矛盾をあえて取り上げることで、ひと回り広い視点で議論を展開できるようになります。私がお世話になったMBAスクールの教授に教わった言葉に「経営とは矛盾との対峙たいじである」というものがあります。矛盾とは、私たちを一段上のレベルに引き上げてくれる存在なのかもしれません。

矛盾を見つけたときは、自分の思考を深める絶好のチャンスなのです。

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