信者を教育する創価学会

創価学会に入会していった人間たちの代表となるのが、「金の卵」と称された集団就職の人間たちだった。彼らは十分な教育を受けていなかったわけだが、創価学会は彼らに教育を与える役割を果たした面がある。

創価学会には組織のなかに教学部が設けられていて、それが各種の試験を実施してきた。出題されるのは、創価学会の教えについてで、それは日蓮の著作がもとになっている。日蓮が書いたものは膨大にあり、それは『御書全集』にまとめられている。

創価学会では、それを「御書」と呼ぶことが多いが、御書は厚く、しかも、日蓮が生きた鎌倉時代のことばで書かれている。試験を受けるには、この御書を学ばなければならない。

そのため、創価学会が拡大を続けていた時代には、電車のなかで御書に読みふけっている人の姿をよく見かけたわけだ。最近では、機関誌の『大白蓮華』さえ読んでいれば、試験には合格できるようになったので、そうした会員を見かけなくなったが、御書を読むことで、創価学会の会員の識字能力は高まった。

試験に合格すると、最終的には教授といった称号を与えられた。それは、創価学会の教団のなかだけで通用するもので、幻想の政治学ならぬ、「幻想の教育学」とも言えるが、高等教育を受けられなかった会員には、重要な機会だった。座談会にしても、それは人前で発表する訓練の場でもあった。

創価学会が政界へ進出する理由

戸田城聖は、創価学会が政界へ進出する理由として、組織の引き締めに役立つことをあげたが、選挙活動に従事することは、社会活動にかかわることであり、それも会員には貴重な経験になった。政治を志す人間がいたら、公明党から出馬できる道が開かれていく。国会議員ではなくても、地方議会の議員になることは多くの人間にできる。現在の公明党は3000人程度の地方議員を抱えている。創価学会の政界進出には、会員たちに政治力を身につけさせるという効果を生んだ面がある。